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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第70話 訪れる邂逅:後編
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感覚しか認識出来ない、今まで困った時自分を導いてくれた依姫にも分からないのでは埒が明かないと、これ以上の詮索はやめようと結論付けるのだった。
 そう勇美が思った時、場の空気が変わったのだ。
 公園の外の道から、賑やかに話をしながらここに入って来る二人の人影を認識出来たのである。
「誰ですか?」
 そう勇美はその存在に声を掛ける。だが、向こうから返答は無かったのだった。
 そればかりではない、その二人の姿も、話す内容もノイズが入ったようにはっきりと認識が出来なかったのだ。それは改めて目を凝らして聞き耳を立てても結果は同じ事であった。
 だが、辛うじて分かる事があった。二人の存在の内一人は白いカッターシャツに黒のスカート、もう一人は紫色のワンピースを身に纏っているという事であった。
 その存在がいよいよ公園の中へと入って来たのだ。
 ──今まで遠くにいたからうまく認識出来なかったのかも知れない。なら、今度は近くに来れば。
 勇美はそう思い、全神経を集中させた。そして、いざ二人の存在に目を向けよう。そうした瞬間、辺りが眩い光に包まれてしまったのだった。
「……?」
 勇美が今の状況を再認識すると、再び赤と紫の悪趣味なグラデーションの空間へと戻って来ていたのである。
 ──真相を掴めなかったか。勇美は少し惜しい気持ちとなった。
 そして、今いる場所にはもう先程の空間の穴は存在していなかったのだ。
「あの場所と、あの二人は何だったんだろう……?」
 そう勇美は呟きながら考え込む。普段頼みの綱である依姫に聞いても答えは分からないだろうから、余計に悩むのである。
 そんな勇美に対して依姫は答える。
「残念ながら、今回は私は力になれないわ」
「そうですよね……」
 それを聞いて勇美は少し落ち込んだような気分となる。しかし、その後を依姫は続ける。
「だから、今回は貴方が先頭に立って進むべき、そう私は思うわ」
「私が……先頭に、ですか?」
 そう言われて勇美はキョトンとしてしまった。この場でそのような事を言われるとは予想外であったからだ。
 そんな勇美に対して、依姫は返す。
「そう、今回の主役は貴方という事よ。勿論私もサポートはするけどね」
「……」
 話が考えていなかった方向性になっていったので、勇美は戸惑ってしまい、悩んでしまう。
 そんな勇美に、依姫は優しく肩を触りながら言った。
「そう気張る必要はないわ。先頭に立つと言っても、貴方は今までと同じように立ち向かえばいいのだから」
 そう、今まで幻想郷で弾幕ごっこを積み重ねて来たように、その経験を活かす、それだけでいいのだと依姫は結論付けるのだった。
「今まで通り……ですね!」
 そう依姫に言われて、勇美も調子が戻ってくるというものであった。今までの通り自分らしく
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