第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第69話 訪れる邂逅:前編
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姫が嗜めたものである。
だが、今回は自ら先導して姉に指示を出しているのである。
依姫は力も人格も隙のない『出来た者』であるが、その中にいながら僅かにではあるが成長するという流れになったようだ。
これも幻想郷、そして勇美と深く関わるようになっていった賜物だろうか? 豊姫はそう思うと微笑ましく感じてくるのだった。
そして、勇美にさりげなくこう言ったのだ。
「勇美ちゃん、ありがとうね♪」
「?」
突然そう言われても当の勇美は首を傾げるしかなかった。
それはさておき、依姫の作戦指示は続いていく。
「続いて玉兎の皆だけど、貴方達もこの場に残りなさい」
そう言った訳を依姫は説明していく。それは、豊姫の能力を考慮しての事であった。
彼女の能力はその気になれば玉兎の軍勢を一気に引き連れて地上に攻め入る事が出来る代物なのだ。
だから、その力をもしもの時は余す事なく発揮してもらう。それが依姫の狙いなのであった。
「分かりました」
ロールもニースもその案を聞いて素直に頷いた。依姫の考えに異議はないようだ。
それに、かつての侵略騒動の時には実戦不足があって役に立てなかったのだ。その汚名を返上出来るかも知れない好機なのであった。
「それからレイセン。貴方も外に残りなさい」
「はい」
潔く返事をするイシン──この場ではレイセンと呼ばれたが──に依姫は理由を説明していく。
レイセンには伝言受信係になってもらうと。依姫の神の力なら念を送る事が出来る。その念をレイセンには受け取ってもらい、万事の時に指示を文章にして皆に伝えて欲しいと。
「重役だなあ……」
思わずイシンはそう呟いてしまう。まだ補佐になる前の一介の玉兎兵士である自分には些か荷が重いと感じるのである。
そんなイシンの不安気な様子を察して依姫はこう彼女に声を掛けた。
「成長した貴方なら問題ない筈よ。それにあの時伊達にお姉様のサポートをした訳じゃないでしょう?」
「あっ……」
その言葉を聞いてイシンははっとなった。そして自分が今まで経験してきた事、それらは全て確実に自分の糧になっているのだと思い起こす事が出来たのだった。
「依姫様、ありがとうございました。私、やります」
「その意気ですよ」
言って依姫は普段の厳格な彼女らしからぬ柔らかい笑みでイシンを労った。
後は、残す所一人である。その当事者がおずおずと口を開く。
「あの……私は……」
「勇美には私と一緒に境界の中に行ってもらうわ♪」
「やっぱりそうなりますよね〜☆」
依姫にとびっきりのクソ笑顔(誉め言葉)で言われて、勇美はなけなしの逃げ道が失われた事に感服するしかなかった。
だが、依姫はそこで勇美が何故そのような態度を取るのかと分からないといった風に言う。
「何を懸念してい
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