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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第68話 イシンの能力
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葉であったのだ。
 それを聞いて、綿月姉妹は一瞬驚いたような表情をした後、二人で向き合い微笑み合った。
「私達こそお礼を言うわ。決して長い間ではなかったものの、その中で貴方はレイセンの立場を全うしてくれたのですから」
 そう言ったのは依姫であった。言いながら彼女は思うのだった。
 初めてこの子と出会った時は、自分の役割を果たすべきだと諭したが、今イシンは自分ですべき事を成そうとしているのだと。
 だから、依姫はイシンにこう言った。
「これからは、貴方が道を切り開くのよ。だから……頑張りなさい」
 そう依姫に言われた瞬間、イシンの表情はぱあっと明るくなるのだった。そして、その満面の笑みでもって、
「はい!」
 そう歯切れの良い返事をするのだった。
 イシンは今、実に晴れやかな心持ちとなっていた。そして、心の中でこれからの活躍をする自分に想いを馳せるのだった。

◇ ◇ ◇

 こうして綿月姉妹、勇美、イシンの全員にとって充実した時間は過ぎていったのだ。その余韻を噛み締めつつ、その中の一人である依姫は切り出すのだった。
「それでは月に戻りましょうか。他の玉兎も心配するでしょうし」
「そうですね」
 依姫の提案に、玉兎の一羽であるイシンは頷く。今後自分は彼女達の元から離れていく訳だが、まだ自分はその一員なのだ。だから迷惑は掛けてはいけない。
 そう思いながらイシンは席を立とうとするが、そこで彼女は自分の身に起こった異変を感じ取ったのだ。
 それにより、彼女の長い耳がぴくっぴくっと跳ねるように動いたのだ。
「うわあ、可愛い……」
 兎の耳がぴょこぴょこ動くという、正に癒しの権化とも言える現象に勇美は感激してしまう。今この場に立ち会えただけでも生きてきた甲斐がある、そう思えてしまう価値がここにはあったのだ。
「勇美、ちょっと静かにお願いするわ……」
 だが、そんな勇美を依姫は嗜める。それには理由があったのだ。
 玉兎のその耳は実に優れた性能を誇り、その一つに『月と地上ほど離れた距離感でも他の玉兎のメッセージを受け取る事が出来る』というものであった。つまり。
(他の兎さんからのメッセージがイシンさんに届いたという事ですか?)
(ええ、だから静かにお願いね)
(はい……)
 そうして依姫と勇美は小声で言い合い、その最中にもイシンは仲間の玉兎の伝言をその身に、いやその耳に受けるのだった。
 そして、イシンは先程見せた能力を発動したのだ。こういう時こそこの能力の出番なのだ。つまり、玉兎のメッセージを自分の歯車に書き出して、抜かりなく記憶してしまおうという寸法という訳だ。
 その様を見て、ますます実用的な能力だと勇美は羨むのだった。例えば事務職の電話受付にこの上なく便利だなと。
 そうこうしている内に、みるみる玉兎達
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