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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第68話 イシンの能力
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「ほええ〜〜」
 この声の主は勇美。最早彼女はこのような気の抜けた声を出すしかなかったのだった。
 その理由は他でもない、レイセン改めイシンの能力の詳細を聞いての事である。
 それは、あらゆる文章を自分の歯車状の妖力へと送り込んで記憶出来たり、この能力でこしらえた文章をこれまたあらゆる事柄へと書き出す事が出来るというものだった。
 それだけの説明ではどのようなものか分からないので、ここから更に詳しく書く事にしよう。
 まず、文章を歯車型の妖力へと書き込む事についてである。これはまずイシンが目にした書物等に書かれた活字としての文を読み取り記憶するというものだ。いうなればパソコンのコピー&ペーストによる文章のコピーを、実物の本等で行えてしまうのだ。
 それだけでも規格外というものであろう。だが、イシンの能力の真髄はこれに留まらなかったのである。
 言葉を文章として記憶しておく効果の範囲は何も、実物の活字に留まりはしないのだ。
 例えば人の話す会話やスピーチ等である。あろうことかこれらの『音声』ですらイシンの能力で目に見える文章の形で記憶する事が可能なのだ。
 それだけでも機密事項や歴史に残すべき演説の内容をコピーして記憶出来てしまうという反則的な能力であろう。
 しかし、そこに更に常軌を逸した力が存在するのだった。
 ここまでは謂わば『入力』行為であるが、あろう事かイシンの能力なら可能であったのだ、『出力』が。
 そう言えばお分かりだろう。イシンには記憶させた文章を外部に書き出す事も行えるのだ。例えば実物の紙に文章を書き出して本にするという芸当もお手の物なのだ。下手をすれば簡単に著作権侵害に足を突っ込んでしまうような代物だが。
 勿論、出力の方にもあらゆる媒体に行えるのだ。記憶した文章を音声として周りに流したり、更には『思念』に置き換えて知能を持つ者の脳内に送り込んだりといった芸当まで可能なのだ。
 そう、勇美との戦いでもイシンはそれを行ったという事だ。他の玉兎二人に戦闘の指示に関する文章を彼女らの脳内に直接書き込んだという訳だった。
 ──話が飛び過ぎている。直接戦闘には向かないものの、実用性は阿求の『あらゆる事を記録する能力』に匹敵、或いはそれ以上の汎用性があるのではなかろうか。
 放心状態から漸く解放された勇美は、手始めに──アームロックを掛けていた。依姫にやられた時の見よう見まねだが、結構様になっている。
「うわっ! 勇美さん、何するんですか!?」
「小説家を目指している私にとって喉から手が出るような能力を持って……こいつはメチャゆるさんよなああああ〜〜!!」
「勇美さぁん、ギブギブ!!」
 堪らずに勇美の腕をタップして降参するイシン。
 どうやら勇美の夢にとって羨ましすぎる能力だったようだ。ちなみに小柄な勇美で
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