第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第67話 明かされる秘密
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「それでは私達は一旦永遠亭に戻りましょう。お姉様、お願いします」
「任せといて」
レイセンを連れて一時地上の永遠亭に戻る事に決めた一行。そこで依姫は豊姫に能力で地上へと連れていってもらうべく伝える。
だが、その最中勇美はある事を思っていた。本当にどうでもいい事を。
「豊姫さん?」
「何かしら?」
「そこは違いますよ。『お姉ちゃんにまっかせなさ〜い☆』じゃないと」
「……本当にどうでもいいね」
これには豊姫は呆れて、突っ込む意欲も沸かなかったのだった。
だが、勇美はここで引き下がらなかったのである。
「む〜、どうでもいい事ありませんよ。豊姫さんってお姉さんだし帽子も髪型もウサギ好きな所まであの人に似てるんですから」
「そういう別次元の話はやめようね」
豊姫はこの話はここまでにしておきたかったのだった。でなければウサギを注文してしまいかねないと懸念しての事であった。大のウサギ好きの自分ならやりかねないだろう。
閑話休題。豊姫は気を取り直して能力発動の準備に取り掛かるのだった。と言っても手間らしい手間を掛ける事なく、すぐにでも発動出来るのだが。
「それじゃあ戻るよ。レイセンも私と一度一緒にやった事があるから心配ないよね」
「はい♪」
元気よく返事をするレイセン。そう声が弾むのは訳があった。
それは、以前豊姫と一緒に地上に出向いた時には空気が張り詰めていた状況だったからだ。
まず、侵略者を捕らえるという展開だったというのが一つの理由である。それ故に『敵』と初めて対面するレイセンには刺激が強すぎたのだ。
それに加えてもう一つ原因があった。
その原因とは他でもない、豊姫の事であったのである。
レイセンには感じられたのだ。その振る舞いはいつものように飄々としながらも、重苦しい空気……それがあの時の豊姫から醸し出されていたのだ。
あの時の豊姫の有無を言わさぬ冷徹さ、そして地上に対する優位を仄めかすような物言い……その時の豊姫の様子をレイセンはこの先忘れる事は出来ないだろう。
だが、今は侵略者を捕らえる等という異常事態ではないのだ。確かに今話題に上がっているのは当の八雲紫だが、レイセンにとって今は任務ではなく羽休めの一環なのである。
だからレイセンは良い気分なのだ。肩の力を抜いて豊姫と地上に出向ける。彼女にとってこれから憩いの時間が待っているから期待が胸の内で膨らむのである。
「それじゃあ行こうか」
レイセンがそのように考えていると、いよいよ当の豊姫から声が上がるのであった。
「はい」
そうレイセンは再度返事をする。もう彼女は心の準備は出来たようだ。
豊姫の能力で一気に別の場所へ移動する。その演出は何度味わっても慣れるものではないのだ。何せ周りの景色が瞬時に別物になるからだ。
だ
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