第66話 歯車の策士:後編
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
そうはしゃぎながら喜ぶ勇美。そう、言わずもがな、勝者は勇美だったのであった。
?「う〜、くやし〜……」
勝負に負けた玉兎達は膨れっ面で悔しがっていた。
勝負に負ければ悔しいと感じるのは当然だろう。その気持ちを味わえるようになったのは彼女達の成長と、やはり弾幕ごっこの賜物なのであった。
(彼女達、成長してるわね……)
その事実を確かめながら、依姫はどこか誇らしい心持ちとなるのだった。
自分達の指導者がそのように思っている中、玉兎の一羽のロールが口を開いたのだ。
「ところで勇美さん?」
「何かな?」
突然話題を振られて、勇美はキョトンとしてしまう。その仕種は可愛らしく、今しがた強かな手段を用いて勝利した者らしからぬ雰囲気を醸し出していたのだった。
そんな勇美に、ロールは言葉を続けた。
「勇美さんは、いつからレイセンが私達の統率を生んでいると気付いたのですか?」
それが玉兎達が今抱える最大の疑問であった。何故勇美に自分達の作戦が読まれたのかと。
そう言われて、勇美は頬をかきながら照れくさそうに言い始める。
「う〜ん、何となくなんだけどね。レイセンさんがスペルカードを発動してから、あなた達の動きが機敏になったからって言えばいいかな?」
「そ、そうなんだ……?」
勇美の主張を聞いて、玉兎達は思わず感心してしまった。
「そこまで私達の事を見ていたのですか?」
「そんな大層なものじゃないよ、今の私は何か細かい事が気になっちゃうタチなだけだよ」
その事が勇美の今までの弾幕ごっこで磨かれた感性であるのを勇美自身は漠然とだが、心の奥底で感じ取っていたのだ。自分が培ってきた経験は無駄なく実になっているのだと。
勇美がそのように想いを馳せていると、依姫から声が掛かるのだった。
「勇美、見事でしたよ」
「依姫さん……」
そう依姫に話を切り出されて、こそばゆい気持ちが生まれてくる。そして、依姫は続ける。
「この勝負、勇美にとって取り乱してしまう要素が多かったにも関わらず、最後まで自分のやり方を貫き通した……素晴らしい事よ」
「あ、ありがとうございます」
依姫にここまでストレートに褒められるのもそうない事かも知れない。なので勇美は沸々と嬉しさがこみ上げてくるのだった。
一方で、依姫は敗者である玉兎達にも声を掛ける。
「貴方達も見事でしたよ。腕を上げましたね」
「はい」
そう依姫に言われて、玉兎達は満面の笑みで以って応える。だが、ここで依姫は「ただし……」と付け加える。
「レイセンが倒された時、取り乱して個々の力を発揮出来なかったのはいただけないわね。戦場で迷いは命取りよ」
「はい……」
玉兎達は辛口の指摘を受けて気落ちする。だが、これは玉兎達の成長に必要な事なのだ。だから依姫は敢えて心を
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ