第66話 歯車の策士:後編
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勇美は一味違うなとも依姫は思ったのだった。一対三という変則的な戦いでも相手方を自分のペースに引き込んでしまったのだから。
恐らく弾幕ごっこの大切さを確認し合って興が乗っているのだろう。これは勇美と玉兎達、互いにいい刺激になったと依姫は思うのであった。
さて、勇美は玉兎達に思わぬ反撃をもらったけど、流れは今彼女にあるのだ。
ここからどう巻き返すのか楽しみだと、依姫はこの戦いの行く末を堪能する事にしたのだった。
一方で勇美である。彼女はこう呟いた。
「参ったなあ……」
行き詰まったような意味合いの言葉を勇美は漏らしていた。
だが、その文面とは裏腹に、彼女の表情は実に楽しげであった。
言うなれば、妹や同年代の子達との遊びが最高潮に燃える展開となった時のようであったのだ。そして勇美は思った。
──これが弾幕ごっこの醍醐味かと。『遊び』の中で分かり合える力、それこそが魅力なのかと。
実に充実したものを感じていた。だから勇美は思う。──こうも満たされるものがあるのなら、そして玉兎達がここまで奮闘するなら……こちらも出し惜しみする必要はないと。
そして、勇美はふっ切れたのだ。この勝負、自分のやれる事はやり切ろうと。
そう思ったが吉日、早速勇美は新たなる神に呼び掛けるのだった。
「『祗園様』に『天津甕星』よ、私に新しい力を貸して下さい」
そう言って勇美は手に持った銃を空中へと放り投げたのだ。銃はくるくると宙を舞う。
そして、その銃はそのまま空中でパズルのようにバラバラになったのだった。
玉兎達は何が起こってもいいように身構える。そして心の中で確認する。
──自分達には秘策があるのだ。だから臆する事なく迎え打てばいい、と。
相手方がそのような思惑を抱く中、勇美の方は準備が整っていったのだった。天津甕星の力で顕現したプレアデスガンに新たに祗園様の力が取り込まれ、次々に銃に部品が集まっていった。
そして、完成した銃が上から降って来たのを拾いあげ、勇ましく掴み取ったのだった。
「あれが勇美さんの新しい武器……?」
思わずロールは呟いていた。それは無理もないだろう。
何故なら、勇美の造り出した銃の造形が著しく変貌を遂げていたからである。
それは既存の銃にはとても見られはしない特徴であったのだ。
まず全体はプレアデスガンの時の片手銃から、ライフルのような両手で扱う物へと変わっていた。それだけなら玉兎達も銃剣という両手で扱う武器を普段から使っているので驚く事はないだろう。
しかし、勇美の銃の一番の特徴はそこでは無かったのだった。
その銃は銃口が無骨な螺旋状となっていたのである。まるでそれはSFアニメのドリルのようであった。
「……」
その造形をロールとニースはゴクリと唾を飲みながら凝視
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