第66話 歯車の策士:後編
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月でひょんな事から玉兎達と一対多の勝負をする事になった勇美。そんな彼女達は思いがけない連携により光線を勇美の元へと届かせたのだった。
「ええっ!?」
勇美は目の前がひっくり返りそうになる位に驚いてしまった。まさか玉兎達の攻撃が自分の元へと届くとは思っていなかったからである。
だが現実は非情であった。力強い侵攻を見せたXの奔流は敵を強かに捉えたのであった。
「うぎゃあああっ!!」
攻撃をまともに受けた勇美は身体が少し弾けるような痛みを受けた後、無防備に後方へ吹き飛ばされてしまったのだった。
そう、文句のない無防備であったのだ。それを玉兎達は見逃してはいなかった。
「勇美さん、『白』なんですねぇ〜♪」
「和服なのに穿いているんですね」
口々に彼女らは勇美を茶化し、囃し立てる。
とどのつまり、下着を見られてしまった訳である。スカート丈の短い和服だから、こうして激しく動く事になれば当然見えてしまうだろう。
こんな目に合わされては、年頃の少女ならば羞恥感の極みを覚えてしまうだろう。──普通の少女であったならの話だが。
「そうなんですよね〜」
言いながら勇美は倒れた体を起こしていったのだ。
そして、完全に立ち上がると続ける。
「あなた達も和服なのに穿いているって変だと思いますよね♪」
勇美は、とびっきりの笑顔でもってそう言い切ったのだった。
「「「……」」」
そんな勇美の言い草に玉兎一同はポカーンと呆気に取られてしまった。
そして、勇美の真意を確かめるが如くロールは質問するのだった。
「あの……?」
「何かな?」
「その……勇美さんは『穿きたくない』のですか?」
とうとう言ってしまった。その後辺りは静寂に包まれた。それは決してカラッとした爽快な静けさではなく、梅雨の日の体に纏わりつくような、やるせないタイプの静けさであったが。
「はい、その通りですよ♪」
そして、静寂を破った勇美の主張もまたやるせないものであった。こんな事を平気で言って悪びれもしない勇美の笑顔は、余り守りたくないものだろう。
「あはは……そうなんだ……」
これにはニースは乾いた笑いをあげるしかなかったのだった。
「勇美さんって……何と言うか、勇気があるのですね……」
「お褒めにあずかり光栄です」
いや、これは褒めていない……という突っ込みすらこの場には無粋なのであった。
そんな泥沼な状況に、依姫は助け舟を出す。
「……勇美、余り玉兎達をおちょくらないように」
「いえ、依姫さん。私は至って真剣な話をしているのですよ」
依姫に注意されても勇美はキリッとした凛々しい表情でそう返すのだった。
「それはそれで、尚更タチが悪いわよ……」
依姫は毎度の事ながら頭を抱えるしかなかった。
それにしても今回の
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