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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第65話 歯車の策士:前編
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「勇美さん、何で私がスペルカードを使えた事が嬉しいのですか?」
 当然の疑問だろう。自分以外の部外者が成果を出した事に、一体何の得があるというのだろうか。
 その疑問に勇美はこう答えた。
「その、何というか……『仲間』が増えたって気分なんですよね?」
「仲間……ですか?」
 思いがけない勇美の言い分に、ロールは首を傾げて聞き返した。
「そう、仲間ですよ」
 それを受けて勇美は言い切ったのであった。そして、それでは言葉足らずであろうと彼女は付け加えていく。
「私はですね、弾幕ごっこやスペルカードには隔たりを狭めていく力があると思うんですよ」
「……はい」
 勇美の理論にロールは思わず頷いてしまった。
 それは彼女にも心当たりがあったからだ。侵略して来た者の一人から提案された決闘方法である弾幕ごっこ。
 それを最初は無駄な血を流させない為にと成り行きで始めていた依姫であったが、気付けば戦う相手と自分のやり取りを考えて向かい合っていた事を玉兎達は覚えていた。──これが戦争や殺し合いでは絶対に起こらない事であろう。
「あ……」
 そう認識した瞬間、ロールの心にも何か暖かいものが満たされるような感じがするのであった。──弾幕ごっこはそこまで懐が深い概念なのかと。
 その事を噛み締めながらロールは口を開いた。
「勇美さん、ありがとう。あなたのお陰で弾幕ごっこの大切さが再認識出来ましたよ」
「それは良かったです♪」
 そう言い合い、二人は互いに微笑み合ったのだった。
 それを見ていた依姫は、ますます感心していた。
 まず、勇美が自分以外にも新たにスペルカードが使えるようになった者に会っても気落ちしなかった事である。その事を自分の専売特許だと思っていなかった心意気が一つ。
 更にそこから弾幕ごっこの大切さを説いて玉兎達と打ち解けた事である。それは玉兎達にあれから弾幕ごっこを教えていった依姫とて喜ばしい事なのであった。
 何故なら、弾幕ごっこに月と地上の隔たりを少しづつだが解消出来る可能性を依姫は感じているからだ。その価値を勇美達が感じ取ってくれた事が嬉しいのだ。
 依姫がそのような想いを馳せている中で、勇美達が再度声を発する。
「それじゃあ、続き始めましょうか」
「そうですね」
 それを皮切りに勝負は再開されるのだった。

◇ ◇ ◇

 そして、勇美は再度プレアデスガンの引き金を引くのだった。先程はロールの弾幕によって阻止されてしまったが、何度もそのようにうまく行くとは思わなかったからである。
 今度は勇美はロールではなく、茶髪の玉兎を狙ったのだ。念には念を入れて、まだスペルカードを使っていない方を標的にしたのである。
 そして星々は茶髪の玉兎へと着実に向かっていった。これで攻撃を当てられれば勇美は勝利に一歩
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