第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第65話 歯車の策士:前編
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ながら思わず唾を飲み込んでしまった。一体何が飛び出すのかと。
そして、玉兎一同の目の前に金属片や歯車が集まっていき何かの形に作られていったのだった。
それを見た玉兎達は……。
そう、勇美の前に顕現した存在は、機械であしらった小動物のような者であったのだ。
小動物……、言うなれば。
「小動物が小動物を呼び出したみたいですね〜♪」
「うっさい」
ここでも勇美は小動物扱いされるのだった。しかも、元が兎という小動物な存在達に。
「おっほん……」
こういう時の定番とでも言うべき、わざとらしい咳払いをして気を取り直す勇美。ここは依姫に手掛けられた同志として、威厳を保たねばならないだろう。
そう思いながら勇美は得意気に言い始めた。
「この子は、ただ可愛いだけじゃないんだからね〜♪」
そう言うと勇美はいよいよこの機械の分身の本領を発揮させるのだった。──神降ろしを借りるのは今である。
「それではお願いします。『天津甕星』よ!」
勇美はいつも戦いの時にお世話になっている神に呼び掛けた。
それを見た玉兎達は当然驚いてしまう。
「え?」
「嘘でしょ?」
「神降ろし?」
口々に驚きの言葉を放つ。それもそうであろう。自分達が仕える主の力は彼女達は件の事で良く知る事が出来たのだ。だから、それと同じ力を使う勇美には驚愕するしかなかったのだった。
(うん、驚いているね)
勇美は当然ながらそう思った。だが、ここは事の真相を正直に話しておく必要があるだろう。
「でもね、これは私の力じゃないんだよね……」
「どういう事?」
やはりそういう思わせ振りな言い方だと、相手は疑問に思うだろう。その当然の疑問に勇美は答えていく。
「これはね、依姫さんから神降ろしの力を借りてやっているんだよ」
「ええっ?」
神降ろしの力を借りる。そんな事が出来るのかと玉兎達の興味は尽きない。
そして、そんな会話をしている内に、勇美の分身マックスに天津甕星の力が取り込まれていったのだった。
それにより、マックスの身体は目映く輝き始めたのである。
「すごい……」
眼鏡の玉兎はその光景に思わず目を凝らしてしまった。依姫本人の神降ろし顔負け、いや、目を引くという点ではそれ以上の演出だったからだ。
それを見ながら依姫は感心していた。こうもいとも簡単に玉兎達の心を勇美は掴んでしまったのかと。
故にこの勝負、どう勇美は魅せてくれるのかと依姫は期待に胸を寄せるのだった。
一方で勇美である。とうとう彼女の目の前には、いつも通りに未来のデザインのような銃が顕現していた。それを勇美は威勢よく手に納める。
その銃口を玉兎達に向けた。
「うわあ、生き物の形から銃になった!」
当然玉兎達はその変型演出に驚いていたのだった。それに気を良
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