第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第64話 噂のあの子との邂逅
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この子達にとっても今までにない刺激となりそうだからよ」
「色々な経験をしておいた方がいい」依姫はそう付け加えるのだった。
「成る程、確かに……」
言われて勇美は合点がいき始めるのであった。
まず自分にとっては初めて月に住まう者達との戦いになるのだ。鈴仙という、元は同じ月の兎と戦った事はあるが、彼女はその時は既に地上に住まう者となっていたのだ。
対して、玉兎達にとってもいい刺激となるだろう。何故なら、仮にも勇美は地上からやって来た存在、即ち『侵入者』に近いからである。
これにより、外部の者と戦う事になり、月を守る者としての自覚に繋がるだろう。依姫はその事も考慮していたのであった。
つまり、やや玉兎の自覚に繋げる為に勇美を出汁に使う事になるだろう。だが、ここは心を鬼にしてもやっておかなければならない事と、依姫は腹を括るのだった。
そのように依姫が思案をしていると、
「分かりました。面白そうだし、その案に乗りましたよ」
と、勇美の歯切れの良い発言が耳に入って来たのだった。
それを聞いて、依姫は取り越し苦労をしていたと実感した。勇美の積極性にはいつも助けられているなと依姫は思い起こすのだった。
話は決まったようだ。だが、ここで勇美は新たに疑問を提示する。
「でも、私が依姫さんのように勝ち抜きをするのですか?」
それが問題であったのだ。連続で複数の相手を次々としていく。そのような芸当は依姫のような実力者だから出来たのだから。
確かに玉兎一羽一羽は嘗て月に舞い降りた霊夢達よりも実力は遥かに劣る。
しかし、自分は依姫ではないのだ。玉兎であっても勝ち抜いて行くなどという芸当は荷が重すぎるのである。
これがもし以前の訓練をサボる玉兎達だったら優しい課題となっていたかも知れないだろう。
だが、それは過去の話なのだ。今の彼女達は地上の侵略者を目の当たりにした緊張感と、依姫の勇姿を見た事により俄然意欲に溢れており、それにより実力もつけていっているのである。
その事を勇美は依姫に告げ、三羽全てを相手にするのは荷が重いので誰か一羽だけとの戦いにしてくれるように頼むのだった。
それを聞いて依姫は「確かに……」と考え込む仕草を見せる。その様子を見て勇美は、無理な話にならずに済みそうだと胸を撫で降ろすが……。
依姫の答えは斜め上を行っていたのだった。
「そうね。勝ち抜きでは面白くないので、勇美には三羽纏めて戦ってもらうわ」
そして、暫し沈黙が走る。地上よりも幾分静かな月が、より静寂に包まれたのだった。
当然その静寂は破られる事となる。よもやお約束と言えよう。
「ええ〜〜っ!!」
「勇美、うるさいわよ」
慟哭する勇美に、依姫は容赦なく突っ込みを入れておいた。だが、それにも勇美は憶さずに反論。
「だっ
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