第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第64話 噂のあの子との邂逅
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訂正しよう。三人ではなく『三羽』のようである。
今この場では、正に三羽の玉兎達が模擬戦の真っ最中なのであった。
「えい!」
「やあ!」
その様子は真剣そのものであった。断じて、依姫が来たから真面目にやっている風には見えなかった。
その玉兎達は、七羽の内の三羽という事だろう。他の四羽は別の場所で訓練に励んでいるのだろう。
内訳は、一人が茶髪のショートヘア、もう一人が黒髪の眼鏡の子、そしてもう一人は……。
「あなたがレイセンさんですか?」
勇美は気付けば、その水色のショートヘアの玉兎に呼び掛けていた。
「ええと、そうですね……」
呼び掛けられた玉兎、レイセンはそう答えた。
どうやら間違いないだろう。この玉兎が何度も噂を耳にしている、鈴仙に代わりレイセンの名前を授かった者であるようだ。だが、彼女の返事がどこか歯切れが悪かった事に勇美は気付かなかった。
それに構わず、勇美は綻んだ表情をレイセンに見せながら言った。
「やっぱりあなたがレイセンさんなんですね〜、一度会ってみたかったんですよ〜」
言いながら勇美はレイセンと握手をしていた。
「あ、あの……」
そんな勇美にレイセンは戸惑いを見せた。何故この人は自分にこんな興味を見せるのかと。
その理由を勇美は説明していった。
その理由は、レイセンが永琳の手解きで、綿月姉妹に見出だされた存在であったからだ。
勇美もこの二人の存在抜きであったら、今の自分は存在しないだろう。故に同じ大切な人達を持つ者同士、親睦を深めたいと勇美は切に願っての事であったのだ。
そんな勇美の気持ちを察してなのか、レイセンは、
「こちらこそよろしくお願いしますね、勇美さん」
そう言ってレイセンはペコリと頭を下げるのであった。
「よろしくね♪」
「はい♪」
二人はそう言い合った後、気付けば固く握手を結んでいたのだった。
その二人の様子を見ながら依姫と豊姫は微笑ましい心持ちとなるのだった。そして、この二人を会わせて正解だったとも。
そんな心弾む状況だったものだから、もうひと弾みしてしまったようだ。依姫はふと勇美に声を掛けた。
「勇美、少し面白い事を思い付いたのですが、聞いてくれますか?」
「えっ、何ですか?」
突然依姫に呼び掛けられて、勇美は何事かと思う。対して依姫はどこか悪戯の思い付いた子供のような振る舞いをしているのであった。
そして、彼女の案が自身の口から語られる。
「勇美、この方々と弾幕ごっこをしてみなさい」
「えっ?」
思いがけない依姫の提案に、勇美は頭上にハテナマークを浮かべるような反応をしてしまったのだ。
そして、その提案の真意を依姫に聞く。
「どうしてこの子達と勝負という話を思い付いたのですか?」
「それはね、勇美にとっても、
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