第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第63話 月に出て行くか:後編
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れを勇美は快く承諾する。
「はい、いいですよ。寧ろ話相手が欲しかった所なんですよ」
それが勇美の本音であった。先程は一人で抱え込んでいたが為に一線を越えそうになってしまったのだ。悩んでいる時は相談相手を見付けるに限るのである。
依姫もどうやらその事を察して勇美の部屋に出向いてくれたようであった。
その気持ちに勇美は嬉しくなりながら、色々話をしていくのだった。
月で紫を探す為に協力する事になって気持ちの整理がつかない事、初めて依姫と出会った時の事、それからの幻想郷での暮らしについて等々、勇美は気の落ち着くまで依姫と話をしたのだ。
そして、二人は一頻り話をした所で依姫は言った。
「勇美、色々な事を考えていたのね」
「ええ」
その言葉に勇美は素直に頷いた。やはりこの人の前だと一番正直になれると勇美は感じるのであった。
そんな勇美に対して依姫は続ける。
「ちょっと心苦しいものもあった事でしょう。前向きな貴方でも悩む事は当然ですから」
「そうなんですよ〜」
依姫に言われて勇美は心地好さを感じながら言った。いつもおちゃらけているような自分にも悩む事があると分かって貰えて嬉しかったのだ。
「今までにないタイプの異変だから、どんな事が待っているかは分からないわ。
でも、大丈夫。私もお姉様もいる事だし、貴方は貴方が思うようにやればいいわ」
そう依姫は勇美を慰めた。かつて侵略が起こる前に姉に海でされたように。
あの時依姫は豊姫の事で心配だったのだ。その時豊姫は自分逹の師の教えを説いて依姫を諭したのだ。
今の勇美がかつての自分と重なったのだ。だから依姫は勇美に手を差し述べたのだった。
そして、気付けば依姫は勇美の頭を撫でていた。
「あっ……」
こうして撫でられるのは先日の依姫とフォルの勝負の帰りの時以来である。その何度味わっても魅力的な感触に勇美は陶酔してしまう。
「ほら、髪の毛がボサボサになってるわよ。貴方の自慢のサラサラな髪が形無しよ。余り思い詰めない事よ」
「う……面目ありません」
気恥ずかしい心持ちで、勇美はその身を依姫に委ねるのだった。
その憩いの時も終わるのだった。勇美の髪は普段の艶やかさを取り戻し、彼女自身もこれ以上ない充実感に満たされたのだ。
「それじゃあね勇美。さっきも言った通り、貴方は貴方が思う通りにやればいいのよ」
「はい、ありがとうございます」
勇美と依姫は最後の確認をすると、依姫は勇美の部屋を後にすべく入り口まで赴くのだった。
「それじゃあね勇美」
「はい」
そして、二人は別れ、時が来るまでそれぞれ過ごすのだった。
──となる前に一つの話題が存在したのだ。
「ところで勇美?」
「はい、何でしょうか?」
「貴方は年頃の子だから一人遊びは悪いとは言わな
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