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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第63話 月に出て行くか:後編
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た。そして、これからもよろしくお願いします」
 そう言って勇美は深々と三人に頭を下げるのであった。
 その様子を端から見ていた鈴仙も、今勇美が関わっている者達と一つ屋根の下にいる事を誇りに思えるまでに至っていたのだ。それも勇美の影響があるだろう。
 そして、藍も自分にもそういう大切なものがある事を思い出して暖かい心持ちとなっていた。加えて、自分の主を見つける事に積極的になってくれた勇美に密かに感謝の念を覚えるのであった。

◇ ◇ ◇

 そういう出来事に遭った勇美であったが、彼女は今悩みあぐねいでいた。
「あ〜っ……」
 ぐりぐりと頭を机に擦る勇美。ボーイッシュなショートヘアだから多少乱れても直ぐに直せるのは幸いだろう。
 勇美がそうして悩んでしまうのも無理のない話なのかも知れない。
 確かに自分は神降ろしを借りながらも弾幕ごっこに勝てるようになって自信がついてきた。そして跳流という強敵にも勝つにまで至ったのだ。
 もうここには母親の悪影響でコンプレックスの塊だった勇美は存在していないのである。
 だが、今回の事は話が飛びすぎていたのだ。
 まず、八雲紫を追って月まで行くという話である。霊夢達は既に経験すみであるが、勇美にとっては未知の領域なのだ。
 勇美も天子達のいる天界に行きはした。だが、そこも地球の領域なのである。
 だが、今度は地球外の月であるのだ。これは国内旅行と海外旅行のようなもの、いや、その規模を更に増幅させたようなものなのだ。
 次に、勇美が永琳達のような重役から必要とされている事であった。
 もう勇美は「私なんか」という無粋な考えは抱かないまでに成長していたが、今度の場合は皆から多大な期待を寄せられているのだから、今までとは勝手が違うのである。
 様々な思いが頭をよぎり、勇美は胸が押し潰されそうであった。今回ばかりは元々潰れるような胸は無いと考える余裕もなかった。
 勇美は何とか気分を落ち着かせる事は出来ないかと思考を巡らせていた。そして、越えてはいけない一線に差し掛かる。
 ──そうだ、『一人遊び』でもしてみよう。頭の中であの時のフォル様をオカズにすればきっと充実してリラックス出来ると。
 そして勇美は一人遊びの障壁となるショーツを短い和服の裾から……。
「勇美はいるかしら?」
 ノックと共に勇美の部屋に彼女に呼び掛ける声が聞こえて来たのだった。
 どうやら一線は越えずに済んだようだ。勇美は安堵感と不満を入り乱させながら声の主に応える。
「はい、いますよ」
 言って彼女はドアの前まで行き、開いたのだ。誰だかは声で分かっている。
「お待たせしました、依姫さん」
 そう、勇美が誰よりも敬愛する存在、綿月依姫であった。
「少し、話いいかしら?」
 そう依姫は勇美に言い出してきた。そ
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