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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第62話 月に出ていくか:前編
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生真面目な妖怪である事が勇美には感じ取れるのだった。
 慧音や妖夢、そして自分が敬愛する依姫と似た感じの人だろうと勇美は察するのであった。──だから、相手が『九尾の狐』という伝説の大それた存在であっても、余り張り詰めた気持ちになる必要はないだろうと勇美は再認識するのだった。
 そんな勇美の心境を察してか、藍はふっと勇美に微笑んで見せた。
「何かお前を見ていると橙の事が頭をよぎるな。素直で無邪気でひた向きな所がそっくりだ」
 橙……。それは紫の式である藍が更に式を張った『八雲紫の式の式』の猫又である。まだ未熟な子供の妖怪であるから、藍の計らいで自宅のある迷い家で留守番をしている訳であるが。
「ありがとう御座います」
 勇美は藍に言われて、素直にお礼を言った。勇美は橙とは直接面識がないから実感が沸かないが、藍程の実直な者にそう言われて悪い気はしないからであった。
 そんな勇美を見ながら藍は再び微笑み、話を続ける。
「勇美、お前も噂は耳にした事があるだろう。我が主の紫様が現在行方知れずだと言う事を……」
「はい」
 勇美は迷わずに答えた。彼女も耳に挟んでいた事だからだ。様々な者から、八雲紫が今どうしているか意識する声をちらほらと。
 そこで勇美は思った。何故今その話題がこの場で出るのかと。
 だが、彼女は薄々とその理由を感じ取り始めたようだ。
「この会議って、もしかして……」
 その勇美の質問には、藍の代わりに永琳が答える形になる。
「さすが勇美ちゃん。察しが良くて助かるわ」
「と、言いますと?」
 勇美は首を傾げるが、どうやら話は自分が考えている通りの方向へと向かっているのが分かるのであった。
「ええ、勇美ちゃんの考えている通りよ──八雲紫の所在が掴めそうなのよ」
 予想していたに近い答えを永琳は提供してくれた。だが、勇美には新たな疑問が沸いて出てしまったようだ。
「『掴めそう』と言いますと?」
 それが彼女の抱いた疑問であった。所在を掴んだ、ではなく掴めそうという所が歯切れが悪くて引っ掛かる所在なのだった。
 そんな勇美に永琳は微笑みながら諭すように語り出した。
「勇美ちゃん、八雲紫とはどんな妖怪だか知ってる?」
「えと……」
 突然永琳に話題を振られて、勇美は暫し考え込んでしまった。
 八雲紫……彼女は境界を操る一個体の存在だと。空間に穴を開けて自在に移動出来る、正に神出鬼没な存在である事を思い出したのだ。そしてその事をこの場で話した。
 それを聞いて、永琳は感心したような表情を浮かべてから勇美に言った。
「ご名答よ勇美ちゃん」
 そして永琳は説明を始めた。
 そんな神出鬼没の存在であるから、詳細は掴めていないのだと。紫のものと見られる強力な妖気を感じられたとか、不気味な空間の裂け目を目撃したりだと
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