第百七十三話 北陸攻めの前にその七
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「そうなる」
「そうじゃ、だからじゃのう」
「春にならないとだ」
「動けんのう」
「今は準備だ」
それだけだというのだ。
「それに徹する」
「それで春になったらじゃな」
「動く」
それと共にというのだ。
「雪解け、そしてだ」
「波は穏やかになれば」
「動く」
「その瞬間にじゃな」
「その用意をしていく」
今はというのだ。
「そうしていく」
「ではのう」
「とにかく冬は動けない」
水軍のことも含めてというのだ。
「残念だがな」
「気候のことは風水師がある程度制御出来ますが」
しかしとだ、ここで言ったのは紅葉だった。紅葉はどうかという顔になってそのうえで英雄に話した。
「それでも限られた場所で」
「俺達位の域でないとな」
「国や郡単位での気候を操るなぞです」
「出来ないな」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「それはです」
「出来ないな」
「流石に」
それはというのだ。
「私達の中に風水師はいないですから」
「待つしかないな」
「はい」
まさにというのだ。
「そうした時もあるということで」
「待つしかないな」
「待ちつつ準備をする」
「そういうことだな、しかし俺達も万能ではない」
ここでだ、英雄はこうも言った。
「結局はな」
「はい、結局私達もです」
「万能の存在ではないな」
「人ですから」
それ故にというのだ。
「そうなります」
「そうだな」
「私達は全知全能ではない」
「そのことはわかっておかないとな」
「人は如何なる力を得ても」
それでもというのだ。
「結局は」
「その力は限られている」
「所詮と言えます」
紅葉はこの言葉も出した。
「人は」
「全く以てその通りだな」
「万能、全知全能はです」
「神のことだ」
「それもかなり高位の」
「一神教の神か最高神だ」
英雄は多神教の話も入れた、宗教といっても色々ということだ。尚日本での一神教は『その神』を信仰するもので『他の神』を否定してはいない。他宗教もだ。
「それこそな」
「神でもです」
「色々でな」
「力が限られています」
「それが大抵だな」
「ですから」
それ故にというのだ。
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