第八章
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「そのことを覚えておくべきだ」
「はい、本当に」
「こんな連中と戦っているんですから」
「それでこの連中に勝ったら」
「我々は自慢出来ますね」
「強敵と戦い勝ってこそ自慢出来るものだ」
こうも言う軍医だった、そして彼を看取るつもりだったが。
船坂は生きた、その傷が回復し周りの医療器具を壊し叫んだ。
「殺せ!」
「何っ、まだ生きているのか!」
「あの傷でか!」
アメリカ軍の将兵達はさらに仰天した、彼が生きているだけでなく暴れそして叫んでいると聞いて。
「しかも動いているだと!」
「どういうことだ!」
「あんな傷で生きていられるか!」
「ここに来ただけでも有り得ないぞ!」
「それでか!」
「回復したのか!」
誰もが驚き唖然となった、しかもその後で捕虜収容所を脱出したりもしたので遂にはグアムからハワイ、そしてアメリカ本土の収容所に移されていった。
この話を島で戦っていた以外のアメリカ軍の者達も聞いて唖然となった。
「そんな奴がいるのか」
「日本軍には恐ろしい奴がいるな」
「本当なのか」
「幾ら何でも嘘じゃないのか」
「信じられないが」
「随分勇敢な兵士だな」
兵士に対する最高の誉め言葉も出た。
「日本軍には勇者がいる」
「その勇者のおとは覚えておくか」
「そうすべきだな」
「そんな奴がいるならな」
こうした話をした、そしてだった。
船坂は結局戦争が終わるまで生きた、傷も全て恐ろしいまでの回復力で治り日本に戻ることになったが。
日本に戻る途中でその話を聞いて言った。
「そうか、戦友達もな」
「はい、もうあの戦いでは」
共に帰国する者が彼に船の中で話した。
「我が軍は玉砕したので」
「俺は生き残った」
「そのことは言われないで下さい」
船坂を慰めての言葉だった。
「これも天命です」
「そう言ってくれるか」
「はい、それで話を戻しますが」
「玉砕だからだな」
「もう貴方もです」
船坂もというのだ。
「既に」
「そうか」
「それでどうされますか」
「まず戻る」
日本にとだ、船坂は答えた。
「栃木にな」
「そういえば軍曹殿は」
「あちらの生まれだ」
その栃木のというのだ。
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