第二章
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しかし医師はそれ以上のものを言葉に含ませて小山内に話した。
「覚悟しておいて下さいね」
「そんな必要ないですよ」
また明るく言う彼だった。
「全然ね」
「そう思っておられるのならいいですけれどね」
医師は今はこれ以上言わなかった。こうしてだった。
彼は車椅子生活をはじめた。それはと言うと。
トイレに行く際だ。彼はベッドからその傍に置いている車椅子に乗ろうとした。しかしこれが。
両足が動かないので苦労する。それでだった。
床に落ちながらも何とか乗ろうとする。しかし中々乗れない。そこにナースのお姉さんが来てこう言ってきた。
「乗られないの?」
「あの、おトイレに行きたいんですけれど」
「ちょっと待ってね」
お姉さんははいつくばる彼を細身からは想像できないまでに強い力で持ち上げて車椅子に乗せた。そのうえでこう言ってきた。
「じゃあ今からね」
「おトイレですね」
「ええ、連れて行ってあげるわ」
「すいません」
「お礼はいいわ」
お姉さんは彼の後ろから車椅子を押しつつ言う。病室から廊下に出るが風景は白いままで変わらない感じだ。
お姉さんはその白い病院らしい世界でこう彼に言ったのだ。
「これが仕事だから。それにね」
「それに?」
「おトイレの時もね」
その時もだというのだ。
「安心して。傍にいるから」
「えっ、おトイレもって」
「尿瓶を使ってもいいし」
「ひょっとしてそれって」
「そういうことのお世話をするのもナースの務めだからね」
「そんなのいいですよ」
女の人に自分がそうしたことをしている時を見られたくない、小山内は思春期の男の子らしくこう言った。
「一人でできますから」
「駄目よ、無理したらね」
だがお姉さんはその彼にこう言うのだった。
「今の小山内君は無理できないのよ」
「無理、できないですか」
「そうよ。動けないからね」
だからだとだ。彼が乗っている車椅子を押しながら言うのだった。
「できないことはさせてもらうから」
「けれどそれは」
「いいのよ。気にしないで」
お姉さんは振り向く形で自分に顔を向けてきた彼にまた告げた。
「これがナースの仕事だから」
「そうなんですか」
「漏らしたりしたくないでしょ」
直接の言葉だった。誰でも絶対に避けたいことだ。
「だからね。気にしないで」
「そうですか」
ここは従うしかなかった。だが、だった。
彼はトイレの際に実際にあらゆる恥ずかしい、誰にも見られたくない時を見られるという経験をした。それは彼にとってはかなり辛いことだった。
辛いことは他にもあった。シャワーもだった。
一人で浴びられない。やはり車椅子でシャワールームまで行き。
椅子に乗せられて洗われる。彼一人ではで
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