第四章
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「共に最後まで戦い」
「そしてですね」
「靖国で会おう」
「それでは」
「しかし、その身体で夜通し這ったのか」
上官はまた驚きの顔になり言った。
「そうしたのか」
「それでここまで来ました」
「普通の身体でも夜通し這えるものではないが」
それがというのだ。
「その身体でか」
「しました」
「信じられん」
どうしてもとだ、上官は言った。しかし。
それだけではなかった、上官は負傷した左足を引き摺りながらも歩いている彼に昨日以上に驚きの顔で問うた。
「大丈夫なのか」
「いけます」
これが船坂の返事だった。
「ご安心下さい」
「安心出来るか、昨日だぞ」
上官の声も驚いているものだった。
「昨日死にかけたのだぞ」
「ですが」
「それでもか」
「大丈夫です」
こう言うのだった。
「いけます」
「その言葉信じられると思うか」
「自分の身体は」
「昨日死ぬと言われたのにか」
「この通りです」
「どういう身体だ」
「生まれつき傷が治りやすいので」
船坂はこう言う、だが。
上官はその彼にこう言った。
「そういう問題か」
「違いますか」
「また言うが死にかけていたんだぞ」
一昨日はというのだ。
「手遅れだとみなされてな」
「ですがこうしてです」
「実際に動いているか」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「ご安心下さい」
「戦えるというのだな」
「これからも」
「そこまで言うならいいが」
それでもとだ、まだ言う上官だった。
「信じられないな」
「そうでしょうか」
「お前の様な奴ははじめてだ」
そこまでの体力の者はとだ、こう言って驚き呆れるばかりだった。そして船坂は実際に戦場に出てだった。
拳銃を三連射しアメリカ軍の兵士を倒し奪った短機関銃で二人倒した、このことに部下達は仰天した。
「本当に手遅れとみなされた人か」
「あそこまで戦われるとは」
「むしろ我々より戦っているぞ」
「敵から機関銃を奪って倒すとか」
「どれだけお強いのだ」
「まさに鬼神だ」
そこまで強いというのだ。
「信じられん」
「一体どういう方だ」
彼等も唖然とした、しかも。
今彼は左足と両腕を負傷していた、それで彼等は急いで彼に言った。
「もうここはです」
「お下がり下さい」
「手当を受けましょう」
「そうしましょう」
「いや、まだ戦える」
船坂はこう言ってだった、そうして。
迫る敵達に向かうと銃剣を繰り出してだった。
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