暁 〜小説投稿サイト〜
凍り豆腐
第五章

[8]前話 [2]次話
「豆腐を凍らせることもな」
「そのこともですか」
「あろう、しかもな」
「しかもとは」
「豆腐が凍るのははじめて見た」
 政宗はこのことについても話した。
「これは中々面白い」
「だからですか」
「よい、しかし漬けものも刺身も何でも凍るな」
 政宗は肴に出した他のものも見て話した。
「まことに」
「ではです」
 片倉はそれを見て政宗に話した。
「この度はです」
「酒だけをか」
「楽しみますか」
「雪女との話を肴にな」
「そうしますか」
「それがよいな、ではな」
「確かに。雪女と話すなぞです」
 それこそとだ、成実も言ってきた。
「そうそうあることではありませぬ」
「ならばな」
「それを肴にしてですな」
「今話すこともな」
 それもとだ、政宗は成実に話した。
「よいな」
「左様ですな」
「では飲むぞ」
「酒は凍っておりませぬし」
「ならよいですな」
「よい、それならな」 
 政宗は片倉と成実に話してそうしてだった。
 三人は雪女の話を何かと聞きそうしつつ酒を楽しんだ、そして明け方になるとだった。雪女は政宗に話した。
「ではです」
「これでじゃな」
「はい、長居になりましたが」
「うむ、ではな」
「私の館の方に」
「そこにお主の父上がおられるな」
「母上も。兄弟姉妹と家臣の者達も」
 雪女は政宗に話した。
「おります」
「そうか、では土産も渡そう」
「それは」
「よい、持って行くのじゃ」
 政宗は実際に多くの褒美を出した、それを雪女に持たせてまた言った。
「これだけな」
「これだけのものを頂けるとは」
「これ位のことは何でもないわ」
 政宗は鷹揚に答えてみせた。
「だから気にすることなくな」
「これを持って帰ればよいですか」
「左様、お父上に宜しくな」
「それでは」
 こうしてだった、雪女は政宗に別れを告げて門まで送られてから城を後にした。政宗は雪女を送ってからだった。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ