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相手は誰でも
第五章

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「違う筈だ」
「確かにな」
「それはその通りだ」
「左様、それは誰もが同じだ」
 ゼウスは兄弟神達に言った、そしてだった。
 三人で酒を酌み交わし今度はそれぞれの今の相手を熱心に話し合った、三人共正妻以外のその相手が誰かその馴れ初めはどういったものかも話したがそれはどういった内容かは三人以外は知らないものであった。
 だが後の銀河の時代になりエウロパのある少女はギリシア神話を読んでからゼウスの神殿の前で交際相手に言った。
「ゼウス神って偉大だけれど最低よね」
「ああ、女好き過ぎてな」
「理性あるの?って位よね」
「無茶苦茶酷いよな」
 交際相手もこう言った。
「本当に」
「もう誰でも手を出して」
「子供作ってな」
「無茶苦茶よね」
「殆どそうしたゲームだよな」
 この時代のエウロパにもそうしたゲームは存在している、もっと言えば漫画もアニメも小説もである。
「それこそ」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「それゼウス神だけじゃなくて」
 少女は神殿の前にある雄々しくかつ威厳に満ちた白亜のゼウス象を見つつ交際相手に対してさらに話した。
「ギリシア神話って」
「他の神様もそうだな、そういえば」
「人間も誰でもね」
「下半身に人格ないよな」
「最低って言ってもいいわね」
「神話の登場人物全員か」
「殆どね、さっき貴方が言ったけれど」
 交際相手のその手を取りつつ言った。
「そうしたゲームみたいよね」
「滅茶苦茶だよな」
「相手誰でもいいのって」
「それ位よね」
「本当に酷いわね」
「考えてみたらギリシア神話って凄いな」
「ちょっと以上に有り得ないわよ」
 とんでもないといった口調でだ、少女は言い切った。
「本当にどの神様も英雄もね」
「偉大だけれどな」
「下半身は最低ね」
「これだって思ったら誰でもいいのか」
「そんな風だから」
「僕達だと絶対に無理だな」
「そんなことしたら捕まるわよ」
 そうなると言ってだ、そしてだった。
 二人はゼウス神殿に入って参拝した、神殿の中で言い寄る者はいなかった。だがゼウス像の中にいる何かはよく見れば美女や美少女、美男子や美少年を必死に物色していた。まるで神話の時代の頃の様に。


相手は誰でも   完


                 2020・3・19
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