第三章
[8]前話
「子供の姿をしていて子供のいない家の子供になるんだ」
「そのままだな、それは」
「そうですね」
お爺さんとお婆さは神主さんのお話を聞いてお話しました。
「それなら」
「本当にそうだな」
「じゃああの子は」
「雪童子なのか」
「別に悪いあやかしでないのでな」
神主さんはお爺さんとお婆さん以上にお歳を召しています、その人が飄々とした感じで言ってきます。
「安心したらいい」
「そうですか」
「取って食われる様なことはないですか」
「ない、雪童子は多分な」
神主さんは笑顔のままこうも言いました。
「神様が遣わしてくれるのだ」
「神様が」
「そうなのですか」
「おそらくな、だからあやかしというよりは」
「神様の使いですか」
「そう言っていいですか」
「だからな」
それでというのです。
「安心していい、だからあの子とはこれからもな」
「一緒にいてですか」
「子供としていていいですか」
「そういうことでな」
まさにと言ってでした。
神主さんはお爺さんとお婆さんを笑顔で送りました、そして二人はお家に帰ってからその子供、雪童子に言いました。
「これからも宜しくな」
「一緒にいましょうね」
「勿論だよ、ただね」
子供は二人に笑顔で言いました。
「おらはね」
「ああ、冬だな」
「冬だけだね」
「一緒にいられるのは」
「そうだね」
「ずっと一緒にいたいけれど」
それでもというのです。
「冬しかいられないから」
「それでもいいさ」
「それでもね」
二人で子供に笑顔で言います。
「あんたがそうした子供でもね」
「わし等の子供だ」
「だからね」
「これからも宜しくな」
「うん、おらもね」
宜しくとです、子供も言ってです。
お爺さんとお婆さんと一緒に冬の間だけでも一緒に暮らすのでした、そうして子供のいない二人をずっと楽しませるのでした。越後今の新潟県の古い古いお話です。
雪童子 完
2020・4・13
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