第二章
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「熱いものは駄目かい」
「絶対に駄目なんだ、お風呂もね」
これもというのです。
「川で身体を洗うからいいよ」
「川でかい」
「そう、そこで洗うからね」
だからだというのです。
「いいよ」
「本当かい、今は冬だぞ」
「そうだよ、真冬だよ」
お婆さんも子供に言います。
「そんな中で川でとか」
「流石に風邪をひくぞ」
「大丈夫なのかい」
「おら風邪ひかないからいいよ」
こう言ってです、実際にです。
子供はお風呂に入らず川で身体を奇麗にしてです。
熱いものは絶対に食べません、しかもです。
冬が終わるにつれて次第に痩せていきます、そして春になるとでした。子供はお爺さんとお婆さんに言いました。
「おいらまた来るから」
「また?」
「またっていうと」
「冬になったら来るから」
すっかり痩せた姿で言うのでした。
「またね」
「いや、またと言っても」
「何が何だか」
「急に来たと思ったら」
「冬になったらとか」
「そういうことだからね」
笑顔で言ってでした、そしてです。
子供はいなくなりました、お爺さんもお婆さんも何が何かわからないままでしたが子供は実際にでした。
いなくなってです、お爺さんとお婆さんは二人だけに戻りました。そして春だけでなく夏と秋も二人で過ごしていますと。
冬になるとまたでした、子供は来て二人に言ってきました。
「また宜しくね」
「本当に来たよ」
「冬になったら」
二人は笑顔でお家に来た子供に驚いて言いました。
「春にいなくなって」
「ずっといなくてね」
「冬になったらか」
「また来るのね」
「また宜しくね」
こう言ってです、子供はまたお爺さんとお婆さんの子供になってです。
一生懸命働きます、そのうえで。
春が近付くにつれて痩せていってです、またです。
春になるとまた来ると言って出て行っていきます、そして冬になると戻ってきます。それでなのでした。
お爺さんもお婆さんも不思議に思ってです。
神社の神主さんに子供のことをお話しました、するとです。
神主さんは二人にこう言いました。
「それは雪童子だろうな」
「雪童子?」
「それは何ですか?」
「冬の。この時期に出て来るあやかしで」
それでというのです。
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