第四章
[8]前話
「人からものを奪わなくてもいいです」
「わし等はこうして暮らしていけますから」
「もう悪いことはしません」
「この島で皆で暮らしていきます」
「そうしていきます」
「そうだよ、普通に暮らしていけるなら悪いことしなくていいんだ」
桃太郎は笑顔で言いました。
「生きる為に。ならこれからは」
「はい、この島で田畑や漁や商いで生きていきます」
「わし等はそうします」
「もう奪うことはしません」
「その時に人を襲う様なことを」
「そうするんだ、いいね」
桃太郎は鬼達に確かな顔で言いました、そうしてです。
普通に暮らす様になった鬼達から多くのお礼のものを貰ってから三匹のお供と共にお爺さんとお婆さんのところに戻りました。
そしてことの顛末をお話するとお爺さんもお婆さんも驚きました。
「そんなやり方があるのかい」
「いや、魂消たよ」
「ただ強いだけじゃなくてか」
「そんな知恵もあったんだね」
「鬼も生まれながらに悪かったら成敗していました」
その時は容赦なくとです、桃太郎はお爺さんとお婆さんに答えました。
「得られるものがあるのに奪う、人を好んで殺す様なら」
「その時はかい」
「そうしていたんだね」
「はい、ですが生きる為に奪っていて」
そしてというのです。
「進んで人を傷付けていないのなら」
「それならかい」
「生きる方法を教える」
「そうすればいい」
「それでかい」
「田畑や漁、商いを教えて」
生きる方法をというのです。
「悪いことをしないで生きられる様にしました」
「成程な」
「凄いことをしたものだよ」
「いや、わし等は凄い子供を得たものだ」
「そうして鬼達に悪いことをさせないなんてね」
お爺さんとお婆さんは桃太郎がしたことに驚くばかりでした、そしてこのことに驚いたのは二人だけでなく。
天下の誰もが桃太郎がしたことに驚き褒め称えました、それで桃太郎はお爺さんとお婆さんそしてお供達と共に幸せに暮らすことが出来ました。
そして鬼達もです。
「わし等がこうして暮らせるのは桃太郎様のお陰だ」
「桃太郎様が生きる方法を教えてくれたからだ」
「もうわし等は悪いことをしなくていい」
「桃太郎様に感謝しないとな」
こう言ってずっと桃太郎に感謝するのでした。古い古い頃のお話です。
新説桃太郎 完
2020・4・13
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