第四章
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でその項垂れた顔で言うのだった。
「そうですね。噂を流した本人がいなくなっても」
「そうなるとは思いませんでした」
「根拠のない誹謗中傷だったというのに」
これは校長も教頭も考えていなかった。無論先生もだ。
しかし噂は実際に残っている。それで先生は今こう言った。
「噂は広の心に残りますから」
「例え嘘とわかってもですね」
「消えにくいのですね」
「そうしたものです。噂は毒です」
そしてそれはどういった毒かというと。
「簡単には消えずしかも広まっていく」
「そうした性質の悪い毒ですね」
「まさしく」
「そうしたものなのですね」
先生は項垂れたままだった。そうして。
酒よりもその毒のことを考えて暗い顔になっていた。事実はわかっても悪い噂は残り先生の信頼を傷つけ今も苦しめていた。例え根拠のないものでも。
失われた信頼 完
2012・9・2
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