第一章
[2]次話
刑事の父の変化
その犬、薄い焦げ茶色の長い毛で垂れ耳の中型犬を見てだった。小柳家の一人息子である一郎は犬を出している父の五郎に尋ねた。
「その犬何?」
「帰り道で見つけたんだ」
父は息子に答えた、一七六位の背で痩せている、顔には皺が多く細い目で黒髪を清潔にセットしている。
「それでだ」
「拾って来たんだ」
「ああ、そうした」
「若しかして」
息子は父に尋ねた、茶色の髪の毛をショートにしていて女性的な目をしている。背は中学生にしては高い方で顔も身体も痩せている。
「うちで飼うの?」
「どうしようかはな」
父は息子に微妙な顔で答えた。
「今考えているんだ」
「飼うつもりあるんだ」
「飼うか」
若しくはというのだ。
「保健所だな」
「保健所に連れて行ったら」
今度は一家の主婦の花蓮が言った、茶色の髪の毛を脇のところまで伸ばして後ろで束ねている、奇麗な目で顔には皺が少し出て来ている。背は一六五位で痩せているが胸は結構目立っている。胸はエプロンからも出ている。
「もうね」
「ああ、それじゃあ里親探すか」
「どれかにするのね」
「どうしようか」
「お父さんが拾って来るとか」
息子は今度はこう言った。
「まさかね」
「気になったからな」
「それでなんだ」
「拾ってきた」
「そうなんだ」
「けれどあなた犬に興味あったの?」
妻は夫に結婚して十七年する前から数えて二十年一緒にいることから話した。
「趣味っていったら剣道で」
「警察でもしているしな」
「そうよね」
父の仕事は刑事だ、大学を出てから入って今では階級は警部で剣道は五段だ。
「けれどそれ以外は」
「趣味って」
「これといってないしな」
父は自分から話した。
「趣味は」
「それに家でもじゃない」
息子がまた言ってきた。
「風呂飯寝るで」
「ずっとごろごろしているな」
「お家の中でもね」
「剣道以外趣味はないしな」
「それでもなんだ」
「ああ、気になってな」
今も犬を抱きながら話した。
「それでな」
「それでなんだ」
「連れて来た、けれどな」
「これからどうするかはなんだ」
「まだ考えていないんだ」
「保健所に送ったら処分されるよ」
息子は父にこのことも話した。
「引き取ってくれる人がいなかったら」
「そうなるな」
「それは嫌だよね、お父さんも」
「折角拾ったしな」
「じゃあうちで引き取ったまま里親探すか」
「うちで飼うか、か」
「どっちかだよ」
こう父に言った。
「本当に」
「そうだな、けれどまずはな」
「まずは?」
「この子汚れてるからな」
それでとだ、父は犬を見て言った。
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