第95話『予選@』
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った。
「そういや、お前の名前を聞いてなかったな」
「えっと……三浦 晴登です」
「三浦……へぇ、そうか。──俺は【覇軍】代表、"影丸"だ。そういやお前、集合場所探してるんだっけか? それならこっちだぜ」
影丸と名乗った青年は、こっちだと手招きをしてくれる。しかし、そんな親切よりも今は気になることがあった。
──この人は【覇軍】の人なんだ、と。
何という偶然だろうか。まさか、優勝候補のチームと知り合うことになるなんて。
全身が黒っぽい風体……もしや、この人が"黒龍"なのだろうか。確証はないが、彼のプレッシャーは本物だった。とにかく、相当な実力者には違いない。
「凄い人に目付けられちゃったな……」
晴登はボソリとそう呟いた。しかし、その理由が釈然としない。
何だ、「死地を潜り抜けてきた猛者の目」って。そんな大層な目はしてないと思うのだが。
……まぁ、心当たりがない訳ではないのだけども。2つの異世界での出来事が頭をよぎる。
とはいえ、そんな話に興味を持つなんて変な人だ。晴登だって、おいそれと人に話したい話題でもない。
……どうしたものか。
*
場所は変わって、森の中にポツンと存在する広場。ここは"組み手"の会場──いや、正確には集合場所と言うべきか。
「やっぱりゴツい人が多いわね……」
辺りを見回しながら、緋翼はため息をついた。
それもそのはず、"組み手"と言えば戦闘がメイン。屈強な魔術師が集って当たり前なのだ。緋翼のように小さくてか弱い乙女は、見る限りほとんどいない。
「ううん、ビビってちゃダメよ。上位を目指さなきゃいけないんだから」
そう、周りに怯んではいけない。緋翼だって、経験をそれなりに積んだ実力者の一端。並大抵の魔術師よりは強い自信がある。
そう思って、拳を握って意気込んでいると、
「──ねぇ君、少しいいかな?」
「え? はい、何ですか?」
突然、背後から声をかけられた。
振り向くと、そこには金髪の美青年がニコニコして立っている。……この顔、間違いない。
「えっと……アーサーさん、ですよね?」
「おや、知っていたのか。でも改めて名乗るとしよう。僕は"アーサー"、【覇軍】のリーダーを務めている」
アーサーは丁寧に自己紹介して、またニッコリと微笑んだ。
常人離れした顔立ちに、輝くような金髪。そして凛々しい立ち振る舞いの割に、物腰は柔らかく気さくな性格。相変わらず、非の打ち所がないイケメンだ。
あの爽やかな笑顔を向けられたら、大抵の女子はコロッと落ちるだろう。
それにしても、そんな【覇軍】のリーダーが
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