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SAO─戦士達の物語
MR編
百六十話 屍者の軍勢を打ち破れ
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は破壊できない訳だ。そしてその障害となる取り巻きの城壁ともいうべき肉壁は、現状のメンバーの火力を持ってしても適当に加減した攻撃で突破できる厚さではなくなっている。突破のためには、此方が有する火力を一気に、かつ一か所に集中投下する必要がある。

「一点突破掛けるとして、槍の穂先はどうする?」
「そりゃあ……魔法の防壁って言ってもそこそこの耐久値はあるだろうし、一番瞬間火力がある人が行くべきだろ」
「だよねー」
振っておいて初めから答えは分かっていたのだろう。楽し気にケラケラと笑ってアイリは手を伸ばす。つられるようにキリトもその背中に手を伸ばして──

「それじゃ」
「まぁ」
「リョウ任せた!!」
「兄貴任せた!!」
思いっきりぶっ叩いた。

「へっ……あいよ」
巨大な斬馬刀を担ぎなおすリョウの横顔は、見慣れた顔でニヤリと笑っていた。

────

「今残ってるMPで撃てる一番範囲と火力の在る砲撃をします!打った後しばらくMP回復に時間がかかるから、支援が止まります!」
「Ja!遠慮せずやっちゃってー!」
「アイリ、武器切り替えとけよ、今は範囲攻撃の方が入用だ」
「はーい」
軽い調子で返しながら、アイリは右手を振ってウィンドウを呼び出すと指が霞むほどのスピードでそれらを操作していく。およそシステムが認識するギリギリの速さで為されたそれが終わった瞬間、アイリの腰に在った片手剣の鞘が小さな音を立てて消えたかと思うと、代わりにそれよりも二回りは大きいかという刀身の太刀がその背に出現する。留め具から外れたそれを諸手に持って下段に構えたアイリは獰猛に笑って眼前の敵を見据えた。

「なんだ、やっぱ刀の方が肌に合うかよ?」
「どっちが、ってものじゃないけどねー。でも、カタナ好きだよ?綺麗だしよく斬れるしね……!」
武器スキルのModで取ることの出来る、クイックチェンジ。これを用いた状況による武器の使い分けが、ALOにおけるアイリの持ち味だ。
GGOに居た頃から、アイリは状況に応じて幾つかの武装を使い分けていた。はっきり自覚しているという訳では無いが、多分そもそものきっかけはアイリ自身のリアルが関係しているのだろうと、彼女自身は思っていた。
アイリこと天松美雨の生家には、母屋の他にやや古い道場がある。なんでも涼人と和人の実家である桐ケ谷家にもあるそうだが、話を聞く限り年代的には美雨の家の物の方が大分古い。何しろ祖母の話が確かなら何度か改装や修繕は重ねているその道場は戦前……江戸時代から存在しているのだ。明治維新以降に関東を襲った大震災や戦時中の大空襲の中も運よく残った古いその道場は、アイリの先祖が自らが収めた武術を収める為に作られたものだった。一応は古流武術に分類されるらしいその武術はアイリ自身も一応は母から教わっているの
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