MR編
百六十話 屍者の軍勢を打ち破れ
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に灯る松明に着弾する。総計で12の砲弾が着弾した先、範囲型の者も含めてその範囲内に在った10の松明が一斉に揺れる。この部屋に在る松明はこれらで全てだ、もしシリカの予想が外れているのなら、あくまでもオブジェクトとしての役割しか持たない松明はそれらの攻撃の属性や威力に関係なくユラユラと燃え続ける……はずだった。
「あっ……!?」
突然、シリカが大きな声を上げた。砕けた石材から舞い上がった煙と、キラキラと暗闇の中でわずかな炎の光を反射して舞う氷の粒の向こうから小さな青い火の玉が飛び出した。
「おぉ!大正解!」
「や、やった……!」
「「ビンゴォ!!」」
キリトとリョウが大声でガッツポーズをするのに隠れて、シリカも小さく拳を握った。
飛び出した火の玉には、ボスや他のMobと同じく名前とHPバーが表示されている。固有名は、[Wisp of soul]──魂の鬼火。それまで一切微動だにしなかったそれが嘘のようにひゅるひゅると音をたててランダムな軌道を描きボスの本体である石像に向けて接近していくと、そのままその周囲を石像を守るようにくるくると回遊し始める。
「まだ解決には至らないか……!」
「けどまぁ、明らかにギミック一つ進行だ!とりあえず、次はアレに攻撃だろ!シリカ!!」
「ハイっ!サチさん、砲撃お願いします!」
「うん!」
広いボス部屋のなか、戦列の最後方に居るサチが再び詠唱を開始する。状況は前進した筈だが、Mobの動きに変化は無い。少々長めの詠唱は妨げられることなく完遂され、暴風に寄って編まれた緑色の砲弾が解放される。
風魔法 《ストーム・モーター》
着弾したその場所で、爆発的な暴風とかまいたちが吹き荒れる。周囲に居たMobの何体かがその薄緑色の刃に切り裂かれ、吹き飛ばされるのがメンバーの視界の奥に映った。しかし……
「……!ダメ……」
「成程、こういう対策もしてるわけか……」
肝心のボスと周囲のウィスプの周りだけが、その破壊的な暴風から逃れていた。破壊との境界になっているのはその周囲に展開された薄く光る透明な光の膜だ。その膜と内と外で、黒衣の魔女がもたらした破壊の爪痕の存在がはっきりと分かれていた。
「魔法スキル無効化……?」
疑問の声を上げるシリカの横で、アイリが一瞬眉を顰めると、ハッとした様子で言った。
「私、前にあれと同じようなボススキル見た事あるよ!完全に同じかは分からないけど、土魔法に物理攻撃無効系の壁あるでしょ、あれの逆タイプの防御スキル!」
「って事は……」
「魔法では破壊できずに物理攻撃だけで破壊するタイプの防壁か……!」
成程、ボスの近くから一向に動く気配の無い取り巻き達はそう言う事かとキリトはため息交じりに納得した。要はあのMob達の壁を突破しなければ、ボスの防壁
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