第十幕その四
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「本当に一メートルありますね」
「本朝で一番大きな池や川の魚です」
「そう聞いていても」
「実際に見るとですね」
「やはり大きいですね」
先生は唸って言いました。
「オオサンショウウオを思い出しました」
「ああ、先生あの生きものも」
「はい、知っていまして」
「それで、ですね」
「今思い出しました」
そうだったというのです。
「僕も」
「左様ですね」
「はい、それでなのですが」
先生は河童にあらためてお話しました。
「これからですね」
「もう鯰達も承知しています」
「水族館に行くことを」
「むしろそちらでゆっくりとです」
「暮らしていきたいとですか」
「言っています」
「うん、そうだよ」
「私達もその考えよ」
水槽の中から鯰達も言ってきました、聞くと雄の声だけでなく雌の声もありました。
「夫婦で仲良くね」
「水族館で暮らしたいよ」
「安全だっていうし」
「お水もずっと奇麗だって聞いてるからね」
「そのことは保証するよ」
先生は鯰達に微笑んで答えました。
「水槽の中でずっと安全にね」
「暮らせて」
「お水も奇麗なままなのね」
「そうだよ」
その通りだというのです。
「だからね」
「うん、これからだね」
「私達は水族館に行くのね」
「すぐに車で神戸まで運んで」
そうしてというのです。
「水族館の中で暮らしてもらうよ」
「それじゃあね」
「次はそちらで会いましょう」
「そういうことでね」
「じゃあね」
「先生またね」
鯰達は先生と一時の別れの挨拶をしてでした。
そうして田中さん達に引き渡されて水族館に向かいました、こうして遂にビワコオオナマズも八条学園の敷地内にある水族館に入りました。
その後で、です。河童は先生達が用意してくれた胡瓜や西瓜達を見て言いました。
「これは多いですね」
「たっぷり召し上がって下さい」
「はい、いやここまで多いと」
河童は先生に言うのでした。
「恐縮です」
「それだけのことをしてもらいましたから」
「いえ、私等がしたことは」
それこそとです、先生にこうも言うのでした。
「少しのことなので」
「そう言われますか」
「はい、実際にです」
河童は先生に自分達の考えをお話しました。
「鯰にお話して水槽に入れて持って来ただけで」
「それだけだからですか」
「ここまでは」
「いえ、僕達にとってはです」
先生はその鯰に微笑んでお話しました。
「まだ足りないとさえです」
「思われていますか」
「それだけのことですから」
「遠慮なくですか」
「召し上がって下さい」
「そこまで言われるなら」
それならとです、河童は先生に恐縮した態度で答えました。見れば他の河童達も恐縮していた態度
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