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ドリトル先生と琵琶湖の鯰
第十幕その一

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                第十幕  ビワコオオナマズ
 河童とお話をした次の日です、先生は前日河童と会ったその波止場に行ってそのうえで河童が来るのを待ちました。
 後ろには田中さんが用意してくれた胡瓜を詰め込んだダンボール箱と山積みの西瓜があります。その胡瓜や西瓜を見てです。
 動物の皆は先生にこんなことを言いました。
「何かこうして見てみると」
「僕達も食べたくなるね」
「胡瓜も西瓜も」
「そうしたいね」
「その気持ちは我慢してね」
 先生は皆に微笑んでお話しました。
「お話の後でね」
「その時にだね」
「皆で食べればいいね」
「その時にね」
「そうすればいいね」
「うん、だからね」
 それでというのです。
「今は我慢しようね」
「そうするね」
「これは河童さん達へのプレゼントだし」
「それじゃあね」
「僕達は食べないよ」
「そうするよ」
「そうしようね、しかしね」
 ここでこうも言った先生でした。
「滋賀県は胡瓜も西瓜もいいね」
「そうだよね」
「琵琶湖のお陰だろうね、お野菜も」
「見たら質がいいしね」
「それだけで食べたら美味しいってわかるよ」
「そうだね、だからね」 
 それでというのです。
「僕達は後でね」
「河童さん達に渡して」
「それからだね」
「皆で食べる」
「そうするんだね」
「是非ね。胡瓜はお味噌を付けて」
 そしてというのです。
「食べて西瓜は切ってね」
「うん、そうしようね」
「是非ね」
「西瓜も食べようね」
「胡瓜に加えて」
「その時も楽しもうね」
 先生も食べたいですが今はです。
 河童が来るのを待っています、そんな中で先生は琵琶湖の穏やかな水面を見ました。青い水面に銀色の静かな波が見えます。
 その水面を見つつです、先生は皆にこうも言いました。
「河童さんの名前だけれど」
「あっ、佐吉さんって言ったね」
「そう名乗っていたね」
「そうだったね」
「石田三成さんの名前だね」
 安土桃山時代のこの人のというのです。
「佐吉というと」
「へえ、そうだったんだ」
「あの人佐吉っていう名前だったの」
「そうした名前だったんだ」
「そうだよ、前に話したと思うけれど昔は諱というものがあってね」
 人の名前のお話もするのでした。
「石田三成さんの場合は三成が諱なんだよ」
「それで誰もその名前では呼ばないんだよね」
「絶対に」
「そうした名前だったね」
「そうだよ、それに石田というのも本来の姓でなかったしね」
 こちらはそうだったというのです。
「日本の姓は四つとされていたんだ」
「確か源氏とね」
「あと平家と」
「藤原氏にね」
「橘氏だったね」
「この四つで」
 それでというのです。
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