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海で犬を助けて
第三章
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「子供か」
「また凄い声だったね」
「子供ってたまにああした声出すよな」
「ええ、何かと思ったわ」
「けれどな」
「子供だからね」
「別にいいな」
「そうよね」
 二人はこれで終わった、だが。
「ワンワンワン!」
「!?」
 そこで田中が飼っていたベティがだった。
 子供の声に驚いて飛び上がった、するとその時たまたまリードを付けていたのが緩くなっていたのか古くなって壊れたのか。
 ベティのリードが外れ彼女は慌てて逃げだした、田中だけでなく壇も石川もだった。
 ベティを追った、だが並の人間しかも既に泥酔している者達が犬に追いつける筈もなく。
 ベティは海の方に駆けていってだった。そこにたまたまあった子供用のゴムボートに乗って海に出た。田中はそれを見て叫んだ。
「ベティちゃん!」
「ここは俺が行くよ」
 陸はその田中のところに来て言った。
「お前酔ってるからな、酔って海に入るな」
「ああ、危ないからな」
「ベティちゃんもお前も大変なことになるぞ、だからな」
「お前が行くのかよ」
「ああ、行ってな」
 そうしてというのだ。
「ベティちゃん助けて来るな」
「出来るんだな」
「俺仕事は海上保安庁の職員でな」
 陸は田中に笑って話した。
「ちゃんとそうした資格も持ってるんだよ」
「お前保安庁か」
「ああ、だから任せろ」
「専門家か」
「そうだ、行って来るな」 
 こう言ってだった、陸は。
 海に入ってそうして見事な泳ぎを見せてだった。
 そのうえでベティを助け出し無事に田中に届けた。もうベティはすっかり元の大人しい彼女に戻っていて。
 田中は彼女を抱き締めて泣いた、それで陸に壇そして石川と一緒にお礼を言った。
「悪いな、中田」
「今回は本当に助かったよ」
「よくやってくれたな」
「お礼はいいさ、けれどリードのチェックはしっかりとしろよ」
 陸もベティが逃げたのはリードに問題があるからと見て田中に言った。
「いいな」
「ああ、二度とこんなことがない様にな」
「そうしろよ」
「本当に気をつけるな、今日はもう帰るな。今は家近所にあるしな」
 こう言ってだった、田中は。
 壇そして石川と共にだった。三人でベティをしっかりと保護して酒や食べものを片付けてそうしてだった。
 家に帰った、当然ベティも一緒だった。
 陸はその彼等を見送ると桜に話した。
「じゃああらためて今から」
「泳ぐ?」
「そうしようか」
「そうね、けれどさっきの陸恰好よかったわよ」
 桜はその陸に笑顔で話した。
「凄くね」
「えっ、そうだったか」
「ワンちゃん助けてね」
「あれは保安庁にいる人間だと当然だろ」
「人を助ける仕事だから」
「ああ、だからな」
 何でもないとだ、陸は桜に笑って話し
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