間章3 闇にうごめく征服者
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ばもう大丈夫だ」
「ジョンが……ジョンが殺られた……」
ジョンというのは先程、ネズミ怪人に殺された男である。余程、親しい仲だったのだろう。生き残った仲間は涙を流していた。
「あいつもCIAの局員だ。きっと覚悟はしていたさ……。あいつの死を無駄にしないためにもこの情報は絶対に本国に持ち帰ろう」
そんな中、トムは自分達の元に個人タクシーがやって来た。怪物から逃げるのに必死で気づかなかったがどうやら自分達はタクシー乗り場にいるようだ。
「タクシーに乗るぞ…。人通りの多いところに行けばアイツも手を出してこないだろう」
トムは手を上げてタクシーを停める。
車内に入って「どちらまで?」と尋ねる運転手にトムは「東京駅まで」と答えた。
そしてタクシーが発進し、タクシー乗り場がどんどん遠くなる。
トム達はもう安全なのだと胸をなでおろす。
「とにかく……もう、逃げ切ったな…」
トムが息を吐くように言った時だった。
キキィィィィ!!!
突然、タクシーが闇夜の道路の真ん中に急停車したのだ。
トム達は何が起きたのか分からず見動きができなかった。
「逃げ切っただと?それはどうかな?哀れな目撃者さん」
そう言ったのは目の前でハンドルを握っているタクシーの運転手である。
運転手は助手席から白い蜘蛛型の仮面を取り出して自身の頭部にカチッと装着した。
蜘蛛男……その姿を表すならそう称するのが一番ふさわしかった。
「ま、まさか!!お、お前も……ショッカーの怪人か!?」
「フッ…残念だが我々の姿を見た者は死なねばならないのだ…」
ショッカー第2世代の改造人間、スパイダーは仮面越しにトム達をジロリと見た。まるで蜘蛛の巣にかかった獲物を見るように。
このままでは殺されると思ったトムはすぐさま隠し持っていた拳銃を引き抜き、スパイダーの頭部に銃弾を数発叩き込む。しかし相手は何事もなかったかのように動じない。全く効いていないのだ。
スパイダーは無言のまま、恐怖で固まって動けないケビンの顔を鷲掴みにすると―
グシャッ!!!
ケビンは後部座席に座った姿勢で赤黒い血を流して糸の切れた操り人形のようにグッタリとトムの膝の上に倒れ込む。
「ケビン!!!」
「さて次はお前の番だ」
「冗談じゃねぇぇ!!!!」
トムはタクシーのドアを乱暴に外に逃げ出した。少しでも距離を離せば、それだけあの蜘蛛野郎から逃げられる確率が高まると思ったからだ。
それに殺された仲間達の無念を晴らす為にもこのカメラと情報は絶対に持ち帰らなければならなかった。
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