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レーヴァティン
第百七十三話 北陸攻めの前にその五

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「北陸は雪が多い」
「だからこそですね」
「そうはだ」
 まさにというのだ。
「進めない」
「雪に阻まれますね」
「それが厄介だ」
「雪については」
 良太も難しい顔で述べた。
「どうしてもです」
「軍勢を進める、戦をするにはな」
「邪魔になります」
「それが厄介だ」
 実にというのだ。
「だから冬になるとな」
「北陸はですね」
「攻めにくい、だからな」
「この冬は」
「攻めないでおくか」
 北陸、この地域をというのだ。
「そうするか」
「というよりかはですね」
「そうするしかない」
「兵を進めるにも難儀では」
「どうにもならないな」
「それでは」
「今は攻めないでおこう」
 この冬はというのだ。
「雪が溶けるまではな、しかし」
「雪が溶ければ」
「それと共にだ」
 つまり春が来ると同時にというのだ。
「一気にだ」
「攻めてですね」
「そうしてだ」
 そのうえでというのだ。
「北陸をな」
「一気に制圧しますね」
「そうする」
「ならっちゃな」
 愛実が言ってきた。
「越前、飛騨、信濃の三つの道から」
「北陸全域を攻めてだ」
「制圧するっちゃな」
「その様にするか」
 英雄は鋭い顔で述べた。
「この度は」
「そうするっちゃな」
「これは前から言っていたな」
「攻めるならっちゃな」
「一気に終わらせるのがいい」
 戦は長くはしない、するのなら一気に終わらせる。英雄のこの考えは今も変わっていない。それも全くだ。
「だからな」
「それでっちゃな」
「三路から攻めてだ」
 越前、飛騨、信濃からというのだ。
「そうしてだ」
「一気に掌握するっちゃな」
「北陸全体をな、そして佐渡もな」
 この島もというのだ。
「当然だ」
「手中に収めるっちゃな」
「佐渡は小さいが」
「金山があるっちゃ」
「それも相当な、な」
 かなりの埋蔵量を誇る金山だというのだ。
「それがあるからな」
「絶対にっちゃな」
「あの島もな」
「手に入れるっちゃ」
「そうする」
「佐渡は絶対に欲しい」
 幸正も言ってきた。
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