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俺様勇者と武闘家日記
第1部
アッサラーム〜イシス
宝箱と罠
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確かめる。
「……一通り見たけど、魔物がいる可能性は低いと思うぜ」
 何となく自信なさげに言うナギ。ユウリは鼻を鳴らし、 
「……まあ、最初からすべてお前に期待はしてない。もし魔物だったら俺がすぐに攻撃する。その間、お前らで追撃しろ」
「……ああ」
「うん、わかった!」
「了解っ☆」
 そう言うと彼は、ゆっくりと宝箱に手をかけた。すると、開けてビックリ、中は空っぽだった。当然、魔物もいない。
「なあんだ、空っぽかあ」
「くっそ〜、思わせ振りな置き方しやがって!」
「ねえねえ、この箱、お化粧道具入れに使えない?」
 私たちは、思い思いの言葉を口にする。だがユウリは、「油断するな」と言いながら、残りの宝箱も開けてしまった。
「ちょ、ちょっと待って! そんないっぺんに……」
 だが、どの宝箱も空だった。これにはさすがに、がっかりというか、小馬鹿にされている感じがして内心苛立った。皆も似たように感じたのだろう。
「……王家の宝を狙う連中を欺くための罠か、あるいはすでに何者かに中身を取られたか。どっちしろここに用はない。他にも宝箱はあるはずだ。別のところにいくぞ」
 気を取り直し、今度は今来た通路と反対側通路に行ってみる。そこもまた同じような小部屋で、おなじように宝箱が並んでいた。
「どうせここも同じなんだろ? さっさと開けるぜ!」
 今度はナギが、続けざまに勢いよく宝箱を開ける。確かに空箱ばかりだったのだが、最後の一つに手を伸ばした瞬間、宝箱自身が動き出したではないか!
「わっ、なんだこれ?!」
「離れろ! 『人喰い箱』だ!!」
 ユウリが鋭い声で叫ぶ。反射的にナギが後ろに飛び退くと、宝箱の開閉口からは白い目玉のようなものが見え隠れしていた。その目玉はギョロギョロと辺りを見回すと、私たちに気づいたのか、いきなり跳び跳ねてこちらに襲いかかってきた。
「アストロン!!」
 瞬時に、私たち全員の体が鋼鉄と化していく。人喰い箱の攻撃は受け付けないが、代わりに私たちもまた動くことができない。とりあえず不意打ちを防ぐことは成功したが、アストロンが解けたあと、どう戦えばいいのかわからない。
 ここはユウリの判断を仰ぐしかない!
 一定時間経ち、アストロンの効力が消える。ばっとユウリの方を見ると、彼は魔物の方を向いたまま後ろにいけと、手で合図している。「後方に回れ」ってこと?
 皆後ろに退き、同時にユウリが一歩踏み出した。鞘から抜いた剣を構え、人喰い箱の攻撃が来る前に彼は駆けだして先制攻撃をした。それほどダメージは与えられなかったのか、魔物は一瞬怯んだあと、そのまま勢いよく突進してくる。
 それを予想してたのか、ユウリは右に避け難なくかわす。すると、勢い余った人喰い箱は、目の前の石壁にぶつかった。大きな衝撃と破壊音が響き渡る。見る
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