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おぢばにおかえり
第六十話 朝早くからその十九

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「もっと欲しいから」
「あと五センチは」
「そう、モデルさんみたいにとはいかないけれど」
 奥華にはそんな人もいます、最初見て何この奇麗な人って思った位です。
「それでもね」
「あと五センチですか」
「それ位は欲しいのよ」
「それでも一五五センチですから」
 阿波野君は具体的な背丈を出してきました、私が例えそれだけ高くなった場合のその背丈ノサイズをです。
「あまりですね」
「まだ小さいっていうのね」
「十センチでしたら」
 それで一六〇センチです。
「いいんじゃないですか?」
「それだけお願いしたら欲張りでしょ」
 こう阿波野君に返しました。
「だからよ」
「それであと五センチですか」
「それだけでいいの」
「先輩って謙虚っていうか」
「っていうか?」
「無欲なんですね」
「欲を忘れてでしょ」
 私はおみちの言葉で返しました。
「そうでしょ」
「だからですか」
「そう、欲張りはよくないから」
 それでというのです。
「それだけでいいの」
「そのこと先輩らしいですね」
「そうかしら」
「やっぱり無欲がいいんですね」
「ええ、私はそう思うわ」
 本当に欲を忘れてです。
「そもそもうちは教会でね」
「先輩は跡を継がれるから」
「そう、余計にね」
 教会のこともあってです。
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