第一章
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「あの者ですか」
「強いわ」
謙信のことをだ。彼もまた言うのだった。
「あまりにもな」
「あれはまさに軍神です」
「容易な相手ではありませぬ」
「天下にまさかあれだけの者がおるとは」
「考えもしませんでした」
「あれだけ強いとなるとな」
信玄もまた言う。飲みながら。
「中々のう」
「勝てませぬか」
「おいそれとは」
「うむ、難しい」
信玄は言う。だがだった。
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