第九幕その五
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「気持ちよくでうとうとと寝ていたら」
「そこは人が往来するからね」
「どかないと駄目ね」
「寝るのは別の場所にしないと」
「ええ、わかったわ」
アナコンダはポール=バニャンの言葉に頷いてでした。
そのうえで煉瓦の道の上からどきました、そうしてその横でまたとぐろを巻いて寝はじめました。これで一行はそのまま煉瓦の道を通れる様になりましたが。
ドロシーはバニャンさんに対して言いました。
「有り難う、お陰でね」
「通れる様になったね」
「そうなったわ」
「ははは、流石にね」
「あれだけの大きさの蛇さんがいたら」
「道は通れないね」
「そうなるから」
それでというのです。
「どいて進むつもりだったけれど」
「いや、この場合はアナコンダさんが悪いから」
バニャンさんはドロシーに答えました。
「煉瓦の道は天下の往来だからね」
「開けるべきね」
「そのうえで寝たらいけないよ」
それはどうしてもというのです。
「だからだよ」
「貴方が声をかけてくれたのね」
「そうだよ」
バニャンさんはドロシーに気さくな声で答えました。
「そうしたんだ」
「そうなのね」
「このアナコンダさんは気はいいけれど何処でも寝てね」
「それでなのね」
「時々道の上で寝たりするから」
それでというのです。
「わしも見掛けたら声をかけているんだ」
「他の場所で寝る様に」
「そうしているんだよ」
「そういうことね」
「そう、ただ人の話は聞いてくれるから」
そのアナコンダを見て言うのでした。
「こうしてだよ」
「声をかけたらどいてくれて」
「後はだよ」
「他の場所で寝てくれるのね」
「そうなんだ」
「いや、このアナコンダさんも大きいけれど」
ジョージはバニャンさんに驚きを隠せない声で言いました。
「バニャンさんも」
「大きいっていうんだね」
「はい」
実際にというのです。
「物凄いですね」
「いや、大きいのは生まれながらでね」
バニャンさんはジョージに気さくな笑顔で答えました、その笑顔は屈託がなくてとても素敵なものです。
「問題は心だってね」
「そうですか」
「いつも思っていてね」
それでというのです。
「そうした人になる様に心掛けているよ」
「そうですか」
「誰よりもね」
「大きな心の人にですか」
「そう、心が狭いと何にもならないね」
そうであればというのです。
「どんな身体でも」
「そういえばそうですね」
「だからね」
それでというのです。
「わしはオズの国で一番心が大きい」
「そうした人にですか」
「いつもなろうと心掛けていて」
そしてというのです。
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