第一章
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プードル犬じゃない
王鏡花は中国山西省で生まれ育ち今もそこで暮らしている二十代の女性だ、黒髪をおかっぱにしていて大きな目で顔立ちは童顔だ、背は一五〇程である。仕事は日本で言うところのOLで今は一人暮らしだ。
鏡花には昔から夢があった、それで同僚の趙雅梅にいつも言っていた。
「犬飼いたいわ」
「あんた犬好きだからよね」
「ええ、うちは忙しくてね」
実家はというのだ。
「だからペットとか飼えなくて」
「そうだったのね」
「ええ、けれど一人暮らしになって」
それでというのだ。
「今のマンションペットも飼えるし」
「それでなのね」
「そう、お金もそれだけの余裕あるし」
「飼いたいのね」
「ええ、それで今度ね」
雅梅のポニーテールを見つつ言う、雅蓮はボーイッシュな感じで一六〇程の背ですらりとしている。きりっとした顔立ちで切れ長の目に細長い眉と引き締まった唇が印象的だ。
「ペットショップに行って」
「そしてなの」
「それでね」
「ワンちゃん飼うのね」
「そうするわ」
こう言ってだった。
鏡花は実際にペットショップに行った、そしてだった。
ペットショップの店員に白い子犬を差し出された、ここで店員は鏡花に対してどうかという顔でこう言った。
「一応プードルです」
「一応?」
「店長も何か違う気がするって言っていて」
それでというのだ。
「僕もです」
「そうですか」
「けれど犬、ですから」
「何か引っ掛かりますね」
「まあとにかくこの子可愛いですから」
「お勧めですか」
「はい、どうでしょうか」
その小さくつぶらな目の男を見て鏡花に言った。
「この子は、ちなみに雄です」
「それじゃあ」
鏡花は店員の言葉に頷いた、そしてだった。
その犬を飼って部屋に戻った、そのうえで。
犬をパイと名付けてそうして彼との生活をはじめた、パイにはこれまで勉強してきた犬の飼い方で接していた。
だが三ヶ月程になって。
パイが急にドッグフードを食べなくなった、それで心配している時にだった。
鏡花は自分の料理を作っていたがそこで生の鶏肉を床に落とした、するとドッグフードに拒否反応を示していたパイが。
鶏肉に飛びついて食べはじめた、そして。
以後鶏肉は食べる様になった、鏡花は会社で雅梅にその話をした、すると。
雅梅は首を傾げさせてこう言った。
「ドッグフードをなの」
「そう、食べなくなってね」
「生の鶏肉を食べる様になったの」
そうなったというのだ。
「これがね」
「そうなの、何か犬って生の鶏肉食べないらしいのに」
それがというのだ。
「普通にね」
「食べてるの」
「そうなの」
「おかしなことね、けれどね」
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