第二章
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以後ミケが傍に来ても嫌な顔をしなくなった、そうして次第にミケを見ると笑顔になっていった。だが。
ある夜地震が起こった、その揺れ具合を見てだった。
一家はこの時リビングでくつろいでいたが父は家族に叫んだ。
「テーブルの下に入れ!」
「そこに入ってものが落ちるのから守るんだ」
「そうしろ、すぐにだ!」
「うん、それじゃあ」
「ミケ、来い!」
父は今も自分の傍にいたが突然の地震で仰天している彼女に叫んだ。
そしてミケを両手で掴んでそのうえでだった。
空いているテーブルの下に入った、ミケは背中を上にして丸まっている身体の腹の下に置いてだった。完全に守った、そうして。
地震が収まってだった、それから。
まずはミケの安全を確認してからだった、妻と息子に問うた。二人はリビングのテーブルの下にいた。
「二人共大丈夫か?」
「ええ、揺れたけれど」
「怪我はないよ」
「落ちたものとかもないわね」
「とりあえず大丈夫かな」
「全く、何かと思った」
父は周りを見回して状況を確認しつつ言った。
「本当にな」
「久し振りによく揺れたわね」
「ああ、ちょっとテレビで状況確認するか」
「お父さん、もうミケ放したら?」
ここで息子が言ってきた。
「そうしてあげたら?」
「どうしたんだ?」
「だってずっとミケ抱っこしてるから」
それでというのだ。
「もうね」
「放してか」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「自由にしてあげたら?」
「ああ、そういえばずっと持っていたな」
父も言われて気付いた。
「そうだったな」
「ミケもずっとだと困るし」
「そうだな」
「それじゃあね」
「そうするな」
「ニャア」
ミケは別に嫌がっている風ではなかった、だが。
父はミケを離して自由にした、そしてだった。
家族で家の中を点検したが落ちたり倒れているものはなかった、とりあえずは安心で。
地震の状況もスマートフォンで確認したが震度五であった、後で怪我人が数人出たが死者も倒壊した建物もなかった。
それで家族はよかったとなった、そして。
ミケを助けた父は尚更彼女との距離を詰めミケもこれまで以上に懐いた、妻も息子もその父を見て言った。
「最初は嫌いって言ったのに」
「それが変わったね」
「ああ、人間変われば変わるものだな」
父も笑顔でこう返した。
「最初は嫌いでもいつも一緒にいてしかも好かれるとな」
「それでなのね」
「好きになるんだね」
「ああ、じゃあミケにご飯やるな」
父は自分から言った。
「そうするな」
「世話もしないって言ったのに」
「だからそれも変わるんだよ」
息子にこう言ってご飯をあげた、そしてその他の世話もするのだった。
猫嫌い
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