第二章
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三十三歳になった時に夫に深刻な顔で言った。
「もう子供はね」
「諦めるんか?」
「もう出来ないものはね」
幾ら努力してもというのだ。
「そうじゃないかしら」
「いや、まだな」
「諦めるにはなの」
「早いやろ、努力したらな」
夫は妻が作った夕食を食べつつ話した、野菜と魚がバランスよくありよく見ると生姜等身体にいい所謂精がつくものが結構入っている。
「人間報われるやろ」
「よく言われるわね」
「実際そやろ」
「ええ、それはね」
「そやからな」
「諦めないでなの」
「努力してな」
そうしてというのだ。
「続けていこな」
「そうしたらいいのね」
「わしかて好きなビール控えてるんや」
そうして頑張っているからだというのだ。
「そやからな」
「まだなのね」
「やってこな」
「それじゃあね」
「ニャン太もそう思うやろ」
夫はここで自分達が今いるリビングのテーブルの傍で丸くなっているニャン太を見て彼に対して声をかけた。
「努力しろって」
「ニャア・・・・・・」
知るか、そんな態度でニャン太は返した。よく見ると妻はいいご飯をあげていてブラッシングもしているので毛並みはかなりいい。
そのニャン太を見て夫はまた言った。
「まあどうでもええ」
「そんな感じね」
「ほんま猫はそんなもんか」
「そうね、私達が悩んでいてもね」
「猫はマイペースやな」
「こうした生きものね、けれど今はこの子の画像ブログにあげてね」
「ユーチューブに動画あげるのもはじめたな」
「そっちもはじめてね」
それでというのだ。
「気分転換になってるし」
「妊活で悩んでもな」
「だからいいわ、けれどね」
「子供はな」
「三十五までに」
所謂高齢出産になるまでにというのだ。
「何とかね」
「一人は欲しいな」
「本当にね、それでね」
「今晩もやな」
「頑張りましょう」
「そうしよか」
夫は鰯の煮つけ、生姜を利かしたそれを食べつつ応えた、そしてこの夜も頑張った。
そしてある日夫は妻に家で言った。
「何か猫って幸せをもたらしてくれるってな」
「言われてるわね」
「この話知ってたか」
「大学で聞いたわ」
「わしもや、今思い出したわ」
「それでニャン太もなの」
「若しかしたらな」
寝室の中で一緒に寝ている妻に話した。
「子供もな」
「うちに来てもう一年ね」
「うちに来て色々和ましてくれてるけどな」
「子供も授けてくれるっていうのね」
「そうなるか?」
「そこまではね」
特にとだ、妻は夫に応えた。
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