第一章
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インスタ映えする猫と悩める主婦
植田真知子は主婦であり派遣社員でもある、丸眼鏡をかけていてややきつい感じの顔立ちで黒髪をボブにしている。背は一六一程で均整の取れたスタイルだ。年齢は三十二歳で三つ年上でスーパーの店員をしている夫の豊と二人暮らしだった。
だった、というのは家族が増えたからだ。家の前にいた銀色の毛で耳や尻尾の先が黒くなっている猫を拾って迎え入れたのだ。
その猫は雄猫でニャン太と名付けた、それで今は二人と一匹で暮らしているが。
豊は家に帰って猫をスマホで撮影してブログやインスタにあげている妻に対してビールを飲みながら言った、背は一六二程で黒髪を短いスポーツ刈りにしている、飄々とした人懐っこい顔立ちで腹が少し出ている。
「またブログにあげるんやな」
「そうしたら人気が出るからね」
妻は夫に撮影しつつ答えた。
「それでよ」
「ニャン太って撮ると大人しいしな」
「普段はね」
「それでやな」
「丁度いいわ、しかしこの子前は何処にいたのかしら」
真知子はこうも言った。
「それにしても」
「それはわからんな」
「生後二ヶ月位でうちの前にいたけれど」
「野良猫で家族と離れたんか」
「それでうちの前にいたのかしら」
「そうちゃうか?しかしな」
夫は缶ビールを空けつつ妻に言った。
「撮った後はやな」
「ええ、今日も頑張ってね」
妻は撮った写真をブログそしてインスタにあげつつ夫に話した。
「そしてね」
「子供な」
「作りましょう」
「もうわし等結婚して八年やな」
夫はビールを飲みつつ言った。
「その間努力してるけどな」
「出来ないわね」
「子供は授かりもんっていうけど」
「徳治君もう五歳でしょ」
一つ下の妹の子供の話もした。
「それで二人目もね」
「お腹の中におるんやな」
「だから私もね」
「やっぱり子供欲しいな」
「そうでしょ、だからね」
それでというのだ。
「今夜もよ」
「頑張るか」
「だからビールは一本で止めてね」
三五〇ミリリットルのそれでというのだ。
「そうしてね」
「ほなな」
「あなたビール好きだけどね」
「わかったわ、しかしニャン太は撮り終わったらいつも通りやな」
そのままクッションの上で毛づくろいをしている、彼が寝る前の仕草だ。
「気楽なもんやな」
「猫は自由気ままっていうけれどね」
「その通りやな」
「そうね、私達は悩んでるのにね」
「特に真知ちゃんがな」
「三十代になって子供が出来ないなんて」
そろそろ高齢出産になるのに、というのだ。
「本当にね」
「何とかならんか」
「ええ、不妊治療もしてね」
「神様仏様に願掛けもしてな」
「いつも頑張ってるのに」
「わしもビール控
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