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レーヴァティン
第百七十二話 甲斐平定その十三

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「出来た者だ、出来た者はだ」
「用いる」
「それが上様のお考えでしたな」
「だからですな」
「甲斐の大名を用いられる」
「そうされますか」
「今後な、そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「今後も甲斐を治めてもらう」
「この国の領主として」
「そうしてもらいますか」
「これからも」
「これが無能で邪な輩ならだ」
 英雄は幕臣達に話した。
「容赦なくな」
「処刑ですな」
「そうされていましたな」
「上様としては」
「無能はまだいいが」
 精々その地位を奪うだけだ、英雄はまだ無能な者については寛大だ。その命や財までどうしようとはしない。
 だが邪な者、これはというと。
「邪ならばな」
「賊ですな」
「それになりますな」
「まさに」
「治める立場で賊になれば」
 その邪な性根故にだ。
「それこそだ」
「最悪の賊ですな」
「まさに」
「それになりますな」
「そうした輩は」
「だからだ」
 それでというのだ。
「そうした輩はな」
「処刑してですな」
「魂も消し去る」
「そうしますな」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「憂いをなくす」
「そうしますな」
「そうした輩については」
「そして民の苦しみを取り除くのですな」
「多少能力がなくともだ」
 それでもというのだ。
「心が確かなら努力してだ」
「よくなる」
「そうもなりますな」
「例え今は駄目でも」
「それでもですな」
「そうなるが」
 しかしというのだ。
「それでもだ」
「性根が邪なら」
「それならですな」
「よき方に努力せず」
「そして悪事を為すばかりですな」
「例え能力があろうとも」
「だからだ」
 そうなるかだというのだ。
「俺としてもだ」
「絶対にですね」
「許さない」
「罰しますか」
「能力がなくても努力すればだ」
 それによってというのだ。
「人は変わるからな」
「むしろ努力しなければですね」
「何にもなりませんね」
「それならば」
「そうだ、人はやはり努力だ」
 これが大事だというのだ。
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