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レーヴァティン
第百七十二話 甲斐平定その十一

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「それはわかるな」
「はい、確かに」
「そうなっていますね」
「見てみますと」
「鉄砲や大砲以上に恐ろしい」
「空船や術よりも」
「それは俺達にもだ」
 幕府つまり自分達にもというのだ。
「同じだ、時として噂はな」
「幕府にとって都合の悪い」
「そうしたものにもなりますね」
「今は我等によくても」
「そうもなりますね」
「そうだ、そして人の口に戸口は立てられない」
 英雄はこのことも言った。
「言うなと言ってもな」
「それでもですね」
「人はあちこちで話をする」
「そして広まっていく」
「そうもなりますね」
「だから悪い噂が流れるとな」
 幕府にとってというのだ。
「その場合はな」
「黙らせられないですね」
「言うなとは言えないですね」
「効果がないので」
「だからですね」
「それはしない」
 一切というのだ。
「俺はな」
「左様ですか」
「幕府に対して起これば」
「その時はですか」
「上様は何もされないですか」
「そうした場合はこちらが黙ってだ」
 幕府の方がというのだ。
「静かにことを進めることだ」
「政にしろ戦にしろ」
「そうするだけですか」
「その場合は」
「ただ誰かが暴れるだの企んでいるだのいうものはな」
 そうした噂もある、大戦中のアメリカでは日系人が日本軍と結託して破壊活動を行うという噂があり当時のカルフォルニア州知事も信じていた。
「即座にだ」
「それについては消す」
「そうするのですね」
「そうした噂は」
「そうしますか」
「そして噂の対象の者達をだ」 
 その彼等をというのだ。
「守る」
「その様に」
「そうした噂が流れた場合は」
「そうされますか」
「そして噂を流した奴がいるなら」 
 その場合はというと。
「その流した奴こそをだ」
「罰する」
「その様にされてですか」
「もとを正す」
「そうしますか」
「そうした煽動する噂を流す奴はだ」
 それこそというのだ。
「今話したな」
「妖しい教えの者達ですか」
「邪教ですか」
「その連中ですか」
「そうした連中がよく使う手段だ」
 英雄はこのことを彼等が起きた世界で観てきた、それで知っているのだ。
「誰かを槍玉に挙げる噂はな」
「碌でもない者達があげる」
「そしてその相手を攻撃する」
「自分達は傷付かずに」
「そうしたものですか」
「実に姑息で汚いやり方だ」
 英雄はそうした行為を唾棄する声で評した。
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