第三章
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「まさかと思うけれど」
「返したのっていうのね」
「そうしてないわよね」
「する訳ないでしょ、私もお母さんもその人の主張に唖然となったけれど」
それでもというのだ。
「お父さんが怒って追い返したわ」
「そうしたのね」
「ええ、うちの猫だってね」
「そうよね、けれどそんな人いるのね」
「最低よね」
「どうしようもなくね」
二人でこう話した、これ以上はないまでに嫌な顔で。
だがさらに後日真美は明美の店に行った時に続報を聞いた、その続報はというと。
「二日目に来たのよ、あの人」
「またなの」
「それも夜にね」
「夜って」
「うちのお店閉まってたわよ」
「喫茶店で夜ってね」
「タマを取りにね」
その目的でというのだ。
「来たのよ」
「けれどここはお店でね」
「ええ、うちは近所にあってね」
「ここに住んでいないでしょ」
「それでタマもいつも連れて帰ってるけれど」
それでもというのだ。
「あの人それ知らなくてね」
「来たのね」
「鍵どうしてか開けて」
「不法侵入よね」
「それでお店のレジ漁ってたのよ」
「泥棒?」
真美はその話を聞いてここでも眉を顰めさせた。
「それって」
「捕まった時防犯ブザーが鳴って駆け付けたお巡りさんに連行された時にタマがいなかったから腹いせにお店の金取ろうとしたらしいのよ」
「そのことも最低ね」
「それで今は警察のご厄介よ」
そうなっているというのだ。
「もう暴れて大変だったらしいわよ」
「何処からどう見ても最低ね」
「どうしたらあんな人になるのかね」
「その域よね、何かお仕事学校の先生っていうけれど」
「あれでなの」
「何か組合がどうとかよく言ってたしご両親も先生で」
学校のというのだ。
「やっぱり組合に熱心とかね」
「ああ、そうした先生ね」
「みたいね、けれどね」
それでもとだ、真美はやれやれという顔になってカウンターの中にいる明美に話した。
「つくづく最低な人ね」
「そうよね」
「私がこれまで会った中でね」
それこそというのだ。
「一番最低な人よ」
「私もそうよ」
「そうなのね、二度と会いたくないわ」
「そのことも同感よ」
「全く、酷い人もいたものだわ」
真美はやれやれといった顔で珈琲を飲んだ、そして。
自分が座っているカウンターの席のところにタマが来て自分の目の前で腰を落として丸くなったのを見て笑顔になった。そうしてその彼女を見つつコーヒーを飲んで言った。
「あんたはいい飼い主に貰われてよかったわね」
「あんな人からね」
「そう思うわ」
明美にも話した、そうしてコーヒーをもう一杯注文してタマをさらに見た。
最低な飼い主の末路 完
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