プロローグ
敗残狼の反攻の狼煙
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が救援に向かってるんじゃないか」
アメリカ軍の救援部隊が都市の中央部に差し掛かったところで建築物と建築物に挟まれた一本道が山積みにされた丸太に塞がれていた。バリケードのようであった。
「総員、警戒せよ」
救援部隊の隊長が無線を使って隊員に告げる。一気に緊迫感に包まれる。
先頭の戦車の機銃手がハッチから出て辺りを見渡す。すると崩れかけ、中が見えているレンガ造りの民家の二階を何かが動いたのが見えた。
よく注視すると黒いヘルメットと軍服を着た兵士が窓枠からヌッと姿を現し、肩に担いでいた黄銅色の棒状の物をこちらに向けた。
「クラウト(ドイツ兵)だ!!!」
その刹那―。
バシュッ!!
ドイツ兵の携行式対戦車砲、パンツァーファウストが火を吹き、戦車が爆発。砲筒が燃え上がり、搭乗員が火達磨になって出てくる。随伴歩兵達は驚き、慌てふためく。
「パンツァーファウストだ!あの民家に敵兵がいるぞ!!」
アメリカ兵の一人がそう叫ぶと歩兵達はバラバラに散り、パンツァーファウストの放たれた民家の二階に向けて射撃を開始する。
「ナチの糞め!!」
「ファ〇キン!ヒトラー!!」
戦車兵のカタキとでも言わんばかりに銃弾を叩き込み、崩れかけていた民家の二階部分に大小様々な銃痕を作っていく。
「これでも喰らえ!!!」
アメリカ兵の一人が二階の窓に手榴弾を投げ込むと小規模な爆発が起こり、それをきっかけに辺りがシンと静かになる。
「ザマァみろ!ファシストめ!!」
ドイツ軍のゲリラを倒したことで部隊は安堵感に包まれる。
後はこのバリケードをどかすだけだ。誰もがそう思ったその時、
「ギャアアアアア!!!!」
隊列の最後尾で絶叫が響いた。そして肉を引き裂く音と骨を断つ音が聞こえ、アメリカ兵達は瞬時に振り返る。
部隊の最後尾には左目に黒い眼帯をし、ドイツ国防軍の軍服を着た男が生首を持って立っていた。彼の足元には首から下が無いアメリカ兵の死体があった。
軍服姿の男は生首を自分の背後の方に放り投げると口を開いた。
「あれで終わりだとでも思っていたのか?残念だったな、あんなのはほんの始まりに過ぎん」
男は続ける。
「偉大なる第三帝国、そして総統閣下に仇なす愚かな侵略者共め。ここが貴様らの死に場所だ。さぁ……死ねェ!!!」
その男がうずくまると彼の周囲が白い煙に包まれた。そして全身の筋肉がごきごきと盛り上がって黒い毛が体中を覆う。口からは牙が生え、顔が獣のようなものに変化していく。
その姿はヨーロッパの伝説上の怪物…狼男そのものだった。
「アォォォォォォォンンン!
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