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SHOCKER 世界を征服したら
プロローグ 
敗残狼の反攻の狼煙
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はなかったのではないか?』


「それは………」


ゾルはうつむいた。

総統閣下を無能と呼ぶつもりはないが伍長上がり故か大局を見誤るところがあったのは確かだ。
……あの戦争には問題点が多すぎた。
組織的なレジスタンスやパルチザンの抵抗、広大過ぎた戦線と占領地、予想外の米国参戦、スターリングラードでの冬将軍、兵站と物資、兵士の不足……挙げれば切りがない。


この首領なる人物が何者かは知らないが彼の理想とする社会にゾルは共感していた。優秀な人間が統治する世界。それが実現できたらどれ程素晴らしいだろうかと。


『どうだ?我が組織に来る気はないか?』


ゾルは傷だらけの頭をフルに回転させた。
首領の言うとおり、この世界は変える必要がある。第三帝国なき今の世界は大義が失われようとしている。
アーリア人種が美徳としていた自己犠牲・忠誠心・奮闘を継承し、守り抜くためにも組織に入るのは悪いことではない。


それに………



ゾルはこの首領という人物に救われた。首領、いや首領様は敗残兵と化した小汚い自分を『優秀』とお褒めの言葉をかけてくださっただけでなく、気高き栄光ある組織に勧誘までしてくださっているのだ。
それに自分は首領様に心だけでなく命まで救われている。

その恩を返すべきだ。



ゾルは決心した。



「入れてくれ……いや、入れてください!俺を…このゾルを!!貴方様の組織に!!」


ゾルは力いっぱい叫んだ。
それを聞いた満足したように死神博士は固い地面にひざまずくゾルにそっと手を差し出した。



「ようこそ、『ショッカー』へ。我々は君を歓迎するぞ」


「ショッカー………」


「そう、それが組織の名だ。Sacred Hegemony Of Cycle Kindred Evolutional Realm(同種の血統による全体の、神聖なる支配権)。略してSHOCKER(ショッカー)。素晴らしい名だろ?」

ショッカー…SHOCKERか。『震撼させる者』という意味にもなるその組織名をゾルは気に入り、口元で弧を描いた。

「ああ、最高だ」
――――――――――――――――――――――――
 

ショッカーに入ってすぐ、ゾルは強化改造手術を受けた。
その結果にゾルは満足していた。
灰色だった毛並みも黄金色に変わり、腕力や速力も段違いに向上した。さらにウルフビールスという新種のビールスを生成できる能力まで手に入れた。この能力のおかげでもうこれ以上、部下を失うことはない。それどころかドンドン増やすことができるのだ。

これらの力を自由にできるようになってからはゾルは感謝の余り、大首領に対する永久の忠誠を誓った。


それから
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