プロローグ
敗残狼の反攻の狼煙
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を取り出してゾルにジリジリと迫る。
「そうか……」
ゾルはそっと静かに目を閉じた。
狼男に変身してもただの人間と変わらない程に弱体化してしまった自分にはもう、目の前のコイツらを止めるだけの力も残されていない。
それに今度、改造人間としての姿に変身すれば拒絶反応が起きて肉体が崩壊してしまうかもしれない。
死か……抵抗か……。
彼に2つの選択が迫られる。
そして彼は決心した。
改造人間連隊の生き残りとして…、誇り高きアーリア人としてせめて『信仰』の為、『理想』の為、『死んでいった部下』の為……
前を向いて戦おう。自身の眼に映る敵に一矢報いてやろう。
「かかってこい…!クズ共が!!」
時は2年前に遡る―。
1945年4月某日 ドイツ第三帝国西部のとある町
連日の連合軍の無差別爆撃で民家は軒並み残骸と化し、地面は焦げ付いていた。無論、民間人は既にいない。
そして、そんな都市の大通りをアメリカ軍のM4シャーマン戦車数両が規則的なキャタピラ音を鳴らしながら進軍していく。さらに戦車の後ろにはM1ガーランドやトンプソンで武装した数十人のアメリカ兵が彼らと同じ歩兵を満載した軍用トラック数台と共に行進していた。
そんな中、一人のアメリカ兵が行進する足を止めてぼやいた。
「この近くの森か……α隊が音信不通になったのは」
アメリカ陸軍所属のα隊はこの都市の近くにある森の付近の偵察を行っていた歩兵部隊だ。しかし彼らは数日前に突如として音信不通になった。さらに不可解なのがα隊の最後の無線の内容だ。
「怪物に襲われてる!!!救援を―」
これが最後の無線連絡だった。
無線の内容からα隊がドイツ軍と戦闘状態になったことは容易に想像できたが『モンスター』という部分が誰にも理解できなかった。
アメリカ軍司令部ではこの『モンスター』という報告に関して様々な憶測が飛び交った。恐慌状態になった無線兵による敵兵の見間違いという意見もあれば、ドイツ軍の秘密兵器と言う意見もあった。だがやはり前者が多数を占めていた。
いずれにせよ、α隊が音信不通となったのは事実であったため、すぐに救援部隊が組織された。
無論、アメリカ軍の偵察部隊が『モンスター』などという意味不明な無線を残して全滅したなどと他の連合国…とりわけソ連に知れればアメリカ本国の信用問題に発展するため、α隊の音信不通だけでなく救援部隊すら極秘扱いであった。
「でもα隊には最低でも歩兵が数百人はいたはずだろ?そんな大部隊が突然姿を消すなんてありえるか?」
「ありえんな。少なくとも司令部はα隊がドイツ軍の精鋭部隊にやられたと見ている。だからこそ俺達
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