第六章
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「無理よ。お茶は一人で淹れて皆で飲むものじゃない」
「そうね。それじゃあここは」
「誰が」
「私が淹れるわ」
尚は微笑んで二人に告げた。
「それで三人で回して飲みましょう」
「一杯のお茶を」
「そうするのね」
「うん、そうしましょう」
こう笑顔で提案する尚だった。
「それでいいわね」
「仕方ないわね。尚ちゃんがそう言うのなら」
「私達もそれでいいわ」
何時しか落ち着いた二人だった。そうした話をして。
尚はお茶を入れそれでそのお茶をまずは自分が飲んだ。そして枝織に回し枝織もそれを受け取って口に入れる、ところがだった。
そのお茶が器官に入りむせる。その彼女にすぐに津波が傍に来て彼女の背中を摩りながら気遣う声で言った。
「ちょっと、大丈夫?」
「う、うん」
枝織はむせながら津波に答えた。その際に。
お茶を零してしまっていて津波はそのお茶に濡れてしまっていた。零れたお茶が畳の上に落ちて津波はそこに膝を置いてしまったのだ。
枝織はそれに気付いてすぐにハンカチを出して津波に言った。
「津波ちゃん、お膝濡れてるわよ」
「えっ!?」
「ちょっと待ってね」
こう言ってむせるのをそのままにハンカチでその膝を拭いて言うのだった。
「大丈夫?」
「大丈夫よ、濡れただけだから」
お茶は案外ぬるく火傷はしなかった。そのことは大丈夫だったのだ。
「心配しないで」
「だといいけれど」
「枝織ちゃんも大丈夫?」
津波は津波で枝織を気遣って彼女に問う。
「むせてたけれど」
「大丈夫よ。ちょっとお茶が器官に入っただけだから」
「だといいけれど」
津波は枝織のその言葉と微笑を見てほっとした。それは枝織も同じだった。
尚はその二人を見てここでこう言った。
「つまりそういうことね」
「そういうこと?」
「そういうことっていうと」
「二人共お互いが心配だから注意したのよ」
その体操服の話である。
「けれどそれが気に障ってこうなったのよ」
「尚ちゃんさっきも言ったけれど」
「そういうことなのね」
「そうよ。けれどその親切は悪気があるものじゃなくて心配してのことだから」
だからだというのだ。
「このことはいつもわかっておくとね」
「いいっていうのね」
「そうなのね」
「そう。そうして仲直りをして」
尚はにこにことして二人に話していく。
「このことをわかっているとね」
「いいのね」
「こうした喧嘩をしなくても」
「そう。だからこれで仲直りしてね」
尚はまたこう言った。
「そうしてね」
「そうね、考えてみたら馬鹿みたいなことだし」
「それだったら」
二人もようやく完全に落ち着けた。そうしてだった。
お互いを見て笑顔でこう言い合った。
「じゃあも
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