暁 〜小説投稿サイト〜
戦国異伝供書
第百五話 氏康の治その五

[8]前話 [2]次話
「ちょっかい程度です」
「左様ですか」
「ですから」
「両家は、ですな」
「和を結びましたし」
「これで、ですか」
「後は三つの家で確かな名訳を結べば」
 それでというのだ。
「憂いは完全になくなります」
「左様ですか」
「両家は上洛を狙っておられます」
 今川家も武田家もというのだ。
「ご当主殿は」
「上洛をですか」
「そしてです」
 そのうえでというのだ。
「天下に号令をです」
「考えていますか」
「左様です」
「武田家は源氏の名門」
 氏康はこの家から話した。
「甲斐源氏嫡流の」
「はい、代々甲斐の守護ですし」
「家柄からですな」
「上洛すれば」
 その時はというのだ。
「管領にもです」
「なれますな」
「左様です、大内家が上洛されて」
「管領にはなれませんでしたな」
「しかし武田家は源氏です」
 将軍家である足利家と同じくだ。
「ですから」
「管領にもですな」
「なれます、あの家の格を考えますと」
「左様でありますな」
「そしてです」
 幻庵から話した、今度は。
「今川家はです」
「三河守護の吉良家と並んで将軍の継承権を持っていますな」
「足利家の分家であられるので」
「では」
「はい、今川殿はです」
 義元、彼はというのだ。
「上洛をされて」
「そしてですな」
「公方様になられるおつもりです」
「大きなことですな」
「両家共」
「はい、しかしでありますな」
「それがしの星の見立てですと」
 幻庵は氏康にあらためて話した。
「やはりです」
「尾張の青い巨星にですか」
「阻まれます」
「そうなりますか」
「青といえば織田家ですが」
「尾張の守護代の家ですな」
「あの家に恐ろしいまでの器の御仁が出られて」
 そしてというのだ。
「天下に大いに名を挙げましょう」
「今川殿や武田殿を寄せ付けぬまでの」
「まさに日輪の如く」
「そこまでですか」
「恐ろしい御仁かと」
「左様でありますか」
「ですから」
 それ故にというのだ。
「両家は止まるかと」
「尾張に阻まれ」
「おそらく尾張に止まらず」
 その者はというのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ